『南房総市の昔話』という本を執筆している生稲謹爾(いくいなきんじ)さんに取材を行いました。

いつしか消えてしまう昔話や伝説を生稲さんは人伝いに集めていき「本」という形にし、残しました。中には財宝の話、雨が降らなくて困った話やキツネやタヌキに化かされる話など子どもから大人まで楽しめる一冊となっています。そんな生稲さんになぜ民話に興味を持ったのかインタビューを行いました。

民話に興味を持ったワケ!教科書に書いてないことにこそ興味を持った

写真:生稲謹爾さん

生稲さんが民話に興味を持ったきっかけは中学校の先生が「農家になるからといって勉強をしなくていいわけじゃない。せっかくだから郷土史の勉強をしたらいいじゃないか」という一言から始まりました。

郷土史の勉強は教科書に載っていません。当時花やビワで日本一になっていた富浦町では、忙しさのあまり働き盛りの大人たちは「この地方の民話はない!」とまで言っていたそうです。しかし、実際に高齢者に話を聞いてみると狐に化かされた話や、サザエの話などとても面白い民話を沢山教えてもらえたそうです。

消えてしまうのはもったいない!親しみやすくより身近に民話を

写真:南房総市の昔話第一集

当時はあくまでも趣味で民話を集めていて、本を出そうとは思わなかった生稲さん。子供が生まれPTAの役員を務めた際に民話を学校だよりに書いたところ非常に好評だったそうです。

なぜ民話を載せたのか尋ねたところ、地域で集まって話すことが減ってきたことや伝えられてきた伝統、伝説が消えてきている背景がありました。こんなに面白い話や、伝説が消えてしまうのはもったいない、そう思いPTAの役員を終えた後でも広報で執筆を続け、今では本を3冊も出されています。(一般販売はしておらず南房総市の図書館等で閲覧することができます)

生稲さんは現在でも執筆活動を続けており、活動範囲も富浦町から南房総市中へと範囲を広がり、今ではこの民話を載せてほしいとオファーが南房総市中から来るそうです。

史跡を昔話とこれからも受け継がれるものとして

写真:生稲さんの家(昔からの古民家をそのまま保存して、修理している)

南房総市には沢山の史跡があります。神社や洞窟などもあり、これらにはそれぞれ民話が残されているそうです。その民話は生稲さんの書いた本を通じて現在子どもたちに引き継がれています。

南房総市立富浦小学校では毎年民話を題に子どもたちが劇を行っています。こうして子どものころから民話に触れて、親しむことによって民話は消えず、引き継がれ、郷土愛へとつながっていくのではないでしょうか。

まとめ

私も学校にいたころ生稲さんの「昔話」シリーズを読んで育ちました。その場所ごとに怖い話、面白い話など史実も踏まえながら非常に楽しくその本を読んでいた記憶があります。

民話について先駆けた生稲さんは「これからも民話を語り継いで史跡など自分の生まれた地域に馴染みをもって受け継いでいってほしい」といっていました。沢山の民話と史跡が紹介されているのでぜひ一度南房総市の図書館で手にとってはいかがでしょうか。