都会のざわめきから離れて田舎で生活をしたいと思った時に気になるのが、どこまでの田舎具合かということではないでしょうか。「田舎」といってもどっぷり田舎だったら生活は大変かもしれない。スローライフを楽しみながらも買い物に便利な場所がいい。そして子供たちが安心できる落ち着いた環境がいい。
母親目線で移住を考えた時には、やはりその地域の子育て環境や生活環境が気になります。
そんな考えを持って応募したさすらいワークで、岡山県赤磐市への訪問することになりました。赤磐市は岡山市のベッドタウンといわれているようですが、本当に住みやすい地域なのだろうか?買い物環境や医療環境、そして子育て環境は?子供を持つ母親目線で赤磐市の特徴を探ってきました。
利便性の高さに驚き!
赤磐はハイスペックなコンパクトシティだった
今回、赤磐市にお邪魔して私が一番驚いたのは、コンパクトな中に全てが詰まっているシティだということ。
赤磐市の中心部、山陽インターからほど近い旧山陽町の付近には、まさにコンパクトに色々なお店が揃っています。3つのスーパーに衣料品店やDVDレンタル店、本屋、ドラッグストア、ホームセンター、果ては業務スーパーや産直販売所まで。生活に必要なものはこの辺りで何でも揃うといってもよいでしょう。しかも、近隣には百円均一などの人気生活雑貨店が3店舗、そして市役所や小児科、病院まであります。
小さな子供を連れて動き回ることを考えると、この環境は素晴らしい!しかもそれぞれの距離は車で数分と近く、日々の買い物ストレスが軽減されそうなコンパクトさです。
子供が小さいと買い物途中にぐずることも多く、あちこち見て回るのが大変な時があります。その点、必要なものがほとんど揃う赤磐市のこの環境なら、ストレスの少ない生活が送れそう。これなら、都会から来てもすぐに馴染める気がします。
病院から徒歩圏内にたくさんのお店が集まっています。車で出かけて、家族それぞれが別のお店を回るということもできますよ。
地域の中で子供が育つ。人の温かさを感じる赤磐市の認定こども園
今回、赤磐市を訪れるにあたって、ぜひとも確認しておきたかったのが保育環境です。子育て世帯の移住には保育環境が欠かせません。その点、赤磐市には公立私立あわせて保育園が14園、幼稚園が6園あります。そして、更に2園の認定こども園が。
認定こども園とは、幼稚園と保育園が一体化した教育・保育施設です。1つの施設の中に幼稚園と保育園が一体となっているので、働き方の違いを気にせずに預けることができます。
保育園に預けていてよくあるのが、第二子・第三子出産のために産休を取る時に、上の子が保育園を退園しなければならないというケース。子供にとっては仲の良かった友達と離れるストレスがかかりますし、保護者にとっては転園による経費(園指定の制服や体操服やバッグなどの購入費)がかかります。また、すぐに幼稚園に入園できるかも分かりません。その点、認定こども園は転園することなく籍だけが幼稚園へと移動し、そのままの環境で幼稚園児として過ごすことができるので、親子共に負担が少なく優しい施設といわれています。
万全のセキュリティ対策でお出迎え
今回、2017年10月に赤坂地域にオープンしたばかりの「赤坂ひまわりこども園」にさすらいワーク中に訪問できるということで、楽しみに現地に伺うと…まず驚いたのが、その万全のセキュリティです。
入り口には駐車場に入る段階でオートロックの門が、そして駐車場と園の間にもまたオートロックの門。更には、門から運動場までの各所が防犯カメラで見渡せるようになっています。最近は都会・田舎関係なく物騒な時代になってきました。子供たちを守るために万全の対策を練っているのを見て、安心できると共に園の姿勢に感銘を覚えました。
赤坂ひまわりこども園の奥から入り口までをパシャリ。ポップな色合いが可愛い広く開放的な建物です。
玄関内側から見た入り口。園の名前「ひまわり」が使われたステンドグラスが素敵です。
子供たちへの配慮と愛情があふれる園
赤坂ひまわりこども園の前田園長先生は、幼稚園教諭も保育園教諭も両方経験した大ベテランの先生。子供たちを幼稚園児・保育園児と分けるのではなく、全体を見ながら1番いい保育・教育環境を作るべく日々奮闘されています。訪れて感じたのは、何よりも子供たちがのびのびと過ごしていること。園長先生が大好きで、見かけるとすぐに寄ってくる子供たち。愛情にあふれた園だということがひしひしと伝わってきます。
子供たちへの気遣いは園の設備からもうかがえます。建物内はバリアフリー。小さな子供たちのクラスはコルクが敷き詰められ、怪我のしにくい仕様です。また、ハイハイができる畳スペースや幼児用トイレなど、子供たち目線のスペースがたくさん。
中でも驚いたのは手洗い場で、それぞれのクラスに発育状態に合わせた高さの手洗いスペースがありました。子供たちがストレスなく過ごせるように、随所に気遣いの見られる園です。
学習発表会などを行う広いお遊戯ホール。この日は雨でしたが、窓から明かりがたっぷり降り注いでいました。
ホールの上には子供たちの成長を表すかのようなステンドグラスが。
図書コーナーには絵本や紙芝居がたくさん。子供たちの大好きな場所です。
小さな子供たちの組には、ハイハイできる畳スペースがあります。
部屋を遮るドアには、子供たちが手を挟まないよう工夫が施されています。
子供たち1人1人に目を配る給食タイム
この日はちょうど給食の時間付近にお邪魔したということもあり、給食風景も取材させていただきました。赤坂ひまわりこども園では、給食は地産地消を大切に地元で採れたものを中心に園内で調理しています。
温かいものを温かい内に食べてもらえるように配慮するほか、子供たちの成長に合わせて量を調整して配膳しているとのこと。中でも3歳未満児さんの場合はゴックン期、モグモグ期、カミカミ期など1人1人の発育に合った給食を提供。何と、調理師さんは7人いて、3歳未満児さん担当の専任調理師もいるそうです。これには驚きです!
また、量は全員一律ではなく園児の状態に合わせているそうで、小食の子にはその子が食べられる分量を、しっかり食べさせたほうがいい子には多めの量を、小さな子が遊び食べを始めた時は様子を見て給食を終了させるというように、1人1人のペースを見ながら調整しているとのこと。もちろん、アレルギー対応もしっかりと配慮されています。
健康な発育に食事は欠かせませんから、ここまできっちりと考えてもらえているのは安心ですね。
この日は年長さんのクラスで給食タイム。年長さんが献立の報告をしていました。驚いたのは園長先生が子供たちの嫌いなものをしっかり把握していたこと。園長先生自らが1人1人の状態を把握しているのは、子供たちへの真摯な姿の表れです。
こちらは年中さんのお食事風景。年中さん以上は普段から上履きを履いて過ごします。
保護者の負担を減らし、子供たちの可能性を広げる園
赤坂ひまわりこども園の取り組みはそれだけではありません。園長先生のお話を聞く中で保護者目線で惹かれたことが2つありました。
1つは「病児保育もしている」という点です。共働きで働いていると、子供が体調を崩したけど仕事が休めずすぐに抜けられない…という経験をすることがあります。そういう時に病児保育をしてもらえる場所があるというのはとても心強いもの。
その点、赤坂ひまわりこども園では、看護師が1人常駐していて園医と連携を取りながら病児保育を行います。普段の様子が分かっている園にお迎えに行くまで預かってもらえる、保護者として嬉しい限りです。
更にもう1つ魅力的だと思ったのが、先生の数です。赤坂ひまわりこども園の先生の数は総勢20名以上。シフトによって出勤人数は異なりますが、少ない人数で多くの子供を見るということがなく、先生方にも余裕が見られました。こういう園の空気はとても大事で、子供を預けたくなるポイントの1つです。
この他にも、園では行事として『サッカー教室』や『英語であそぼう』、日本文化を知ってもらおうと茶道の基本を学ぶ『お茶会』(年に数回)なども行っているそうです。『英語であそぼう』では、すぐ近くにある中学校からネイティブの先生が来て楽しく遊びながら教えてくれるそうですよ。地域の人との触れあいもあり、子供たちにたくさんの可能性を与えてあげられる園。こんな素敵な園があるなんて(しかも公立!)、心がグッと掴まれました。
園には様々な生き物たちが。子供たちがちゃんとお世話をしているそうです。
帰りの時間にも保護者が園を身近に感じる工夫あり!
取材終盤になると、そろそろ幼稚園組の帰りの時間に近づいてきました。そして、ここにも園の気遣いが!
お迎えに来た保護者に子供たちの活動を伝えるために、3歳未満児2組、年少、年中、年長とそれぞれの組ごとのその日の行動を書いたボードが張り出されます。伝え漏れがないように文字で見ることができるのは嬉しい配慮。保護者も子供たちが出てくるまでの間、どの組がどういう活動をしたのか、じっくり見ることができます。
3歳未満児さんの組の様子を書いたボード。ふたば組、よつば組と発芽の様子を成長に例えています。
つぼみ組、ひまわり組、おひさま組は幼稚園児と保育園児が一緒に生活。みんな仲良しです。
赤磐市の子育て世代への想いが詰まった園
今回、赤坂ひまわりこども園に訪れて感じたのは、建物としての配慮はもちろんのこと、運営するソフト面の先生方を見ても、本当に子供たちのことを考えて健やかな成長を応援する園だということです。
食の大切さはもちろんのこと、子供たち目線での毎日の生活、そして保護者との連携、更には地域の人たちとの触れあいまで。子供たちにたくさんの愛情をかけながら「地域で育てる」ということを実践されている園だと思いました。
こんな贅沢な公立こども園、都会ではまずありません。田舎でも、少ないのではないでしょうか。赤磐市の子育て世帯への配慮が行き届いた認定こども園で、私の子供も通わせたい!と思う園でした。きっと赤磐市は「未来を担う子供たちを育てる」ということに、とても力を入れているのですね!
外でどろんこ遊びをした後はシャワーで身体を流します。お湯も出るそうです。
子供を住まわせたいまち「赤磐」
赤磐市の子育て世帯への思いが詰まった赤坂ひまわりこども園を訪れた後、気になったのが赤磐市の住環境です。赤坂ひまわりこども園は赤磐市の中でも人口が集中している南部から少し北のほうにあり、石相(いしあい)・軽部(かるべ)・笹岡(ささおか)の3つの地区の子どもたちが主に通っています。
今回の旅ではその中でも移住者が多い笹岡地区と、移住者に人気の桜が丘を見て回りました。
プチ田舎が楽しめる大規模住宅団地【桜が丘】
田舎への移住を考えても、中にはどっぷり田舎に浸ることに抵抗がある方もいるでしょう。適度に田舎を楽しみながらも、それなりに都会的な生活を送りたいという方におすすめなのが、赤磐市の中心街から車で10分~15分程度の場所にある大規模住宅団地「桜が丘」です。
6,000世帯以上の住宅と小学校が3つ、中学校が1つある大規模住宅団地で、近隣には運動公園や市役所出張所、金融機関、大型スーパー、私立保育園などがあります。赤磐市の中でも住みやすい地域として人気が高い地区です。
今回の旅で滞在したお試し住宅もこの桜が丘にあり、都会の住宅地と変わらないなぁ。むしろこっちのほうが裕福そう!と思うほど。田舎生活、なかなかイイです。
高台から見た街の写真。無数の住宅地があります。
人の温かさが残る地域【笹岡】
オシャレな大規模住宅団地もいいけれども、田舎への移住を考えるなら、人との触れあいを感じる農村地帯も捨てがたい!と思う方もいるのではないでしょうか。何を隠そう、私もその1人。
赤坂ひまわりこども園を訪れて、移住者が多いという優先入園区域「笹岡地区」にも興味を持ち、旅の最後に訪れてみました。
赤磐市の中心街から車で20分程度の笹岡地区は、一言で表現するなら「農村地帯」。田畑や果樹園があり、スローライフな空気が漂う地区になります。そのせいか、住宅も日本家屋が多め。でも、ちらほらと今時の住宅も見受けられます。
農村地帯ならではの長閑な景色。ゆったりとした空気が流れます。
笹岡地区の魅力を知りたくて車でふらふらとしていると、突然、「美味しい梨はいりませんか~!」「果汁あふれる甘~い梨ですよ~!!」という子供の声が。一体何だろう?と、車をとめて見てみるとそこは笹岡小学校で、子供たちが梨を販売していました。
元気な呼び声に惹かれてか、地域の人たちもちらほら。その声や姿につられて、私も思わず梨の販売所に。一生懸命販売している子供たちの姿もそうですが、大きく品質のよい梨に驚き、今回の旅の土産はこれだ!と思わず購入。思わぬ出会いで、ずっしりと重い梨を手に入れたのでした。
子供たちが販売していた梨は「新高梨」という品種で比較的大きな実がなるのが特徴です。でも、それにしても大きな梨。今まで梨の産地を訪れたことはありますが、ここまで大きなものはそうそう見たことがありません。大きいものは小玉西瓜以上、小さいものでも赤ちゃんの頭ぐらいはあります。
販売を見守っていた先生にお話を聞くと、この梨は地域の人の手を借りながら子供たちが作ったとのこと。果樹を育て、販売までする。この地域ならではの総合的な学習の授業ですね。こういう触れあい、生命や作物と向き合うこと。これは都会ではなかなか経験できないことです。私の中での笹岡地区の好感度がググッと上昇。旅で出会った美味しい梨を手土産に「赤磐市、最高!」との思いでこの地を後にしたのでした。
子供たちが元気な声で呼び込み中。一生懸命な子供たちの姿に感動!
特大、大、中の梨。とにかく大きくてビックリ。そして安い!
持ち帰ってちょっぴり感動した子供たちからのメッセージ。梨は3,4年生で作ったそうで、本当に甘くみずみずしい梨でした。中サイズを購入しましたが、10cm以上という大きさでした!
地域と人との触れあいを感じる子供に優しいまち「赤磐」
1泊2日という短い期間でしたが、今回赤磐市に滞在して感じたのは、地域との触れあいを感じる素敵な市だということです。認定こども園に小学校、子供たちがのびのびと過ごしている姿を見て、次世代を担う子供たちを大切にしている市だと感じました。
また、調べてみると赤磐市は中学3年生までは医療費無料、高校生は1割負担と、他の自治体に先駆けて子育て世帯の負担軽減を図っている市でした。子育て世帯に優しい市。今回訪れた岡山県赤磐市は、子育て中の母の心をグッと掴むまちでした!
この自治体へのさすらいワークのエントリーはこちらから受け付けています。