私がここ南房総に来たのは今から4年前のこと。たまたま出会った夫が生粋の房州人で、海まで自転車で5分という立地に住んでいたのでした。夫にとって海は「遊ぶ場所」のようで、出勤前でも暇さえあれば釣りだ、サーフィンだ、と出かけていきます。

そんな夫に、秋田の内陸生まれの私が指南を受け、初めての「ヒラメ釣り」してみました!

AM6:00。朝の海は影絵のような別世界だった

12月の朝5時。まだ暗いうちに起き出して暖かい服に着替えて、海へ向かいます(可哀想な2歳半の娘は、着ぐるみのようにされてまだ半分寝ている状態で連行されました 笑)。

群青色の空の下、キリキリと頬を刺す冷たい空気の中を歩いていきます。海へ出て、思わず「すごい!!」と叫んでしまいました。水平線がオレンジに染まって、銀色の波がキラキラと静かに光っています。そこに釣りやサーフィンをする人のシルエットが動き、影絵みたいに美しい世界が広がっていました。

そうか、夫は釣り云々もあるけれど、この景色に会いに来ているのだな、と予感しました。そして朝早くから海遊びをしに来る人たちも。この空間には日々のストレスや混沌を浄化してくれる力があるように感じました。

この景色に会えただけでもう十分満足でしたが、これからが本題!ヒラメ釣りに挑戦します。

いざヒラメ釣り!釣果やいかに…!?

海に囲まれた房総半島と言えど、砂地に棲むヒラメはここ(和田町)のような砂浜でなくては釣れません(ほかにも館山市平砂浦、鴨川あたりでも釣れる所があるそうです)。ヒラメはたいていルアーで釣りますが、夫の仕掛けは生のドジョウに針をつけたお手製のもの。この地域ならではの作り方だそうで、夫の友達が伝え聞いた技を昔教えてもらったとか。

竿の準備ができたら、いよいよ釣り方についてです。できるだけ遠くに、竿を振り切るように投げます。1秒に2回くらいの早いスピードでリールを巻いていき、魚が食い付いて引きが来たら、30秒じっとして魚に餌を食べさせる。そして手前にくっと引き、針を喉にかけて、巻き取る。とのこと。

いよいよやってみましたが、最初はまぁ、飛びません(笑)。あまり振りかざさないで、など注意を受けながら、少しずつ遠くに投げられるようになってきました。じっとリールを握る腕に集中して引きを待ちます。

何度も繰り返しているうちに、なんだか無心になってきました。釣れる、釣れないはさておき、投げる、巻く、という動作にだけ集中するような…これが釣りの醍醐味か〜などと分かった風に頷いていたら、あっ!これ、「引き」じゃない?!?

リールを止めて見てみると、竿の先がつんつん、不定期に動きます。明らかに「何か」が餌を食べている!!!少しして、夫の合図でくっと竿を引っぱり、リールを巻くと…!

ドジョウ…が少し食べられた姿で出てきました。フグかもね、と夫。あーあ、残念。でもなんだか興奮した…!娘が眠い、寒い、で限界だったので、私の初・ヒラメ釣りはこれにて終了。写真は夫がこのあと釣ったヒラメです。

朝穫れのお魚をさばいてみた!

先のヒラメはサイズも小さかったので、内蔵と鰓(えら)をとって丸ごと煮付けにしました。身がとても柔らかくほろっとしていて美味しかったです。

夫の今まで釣ったヒラメの記録は67cmとのこと。そのクラスになると「5枚おろし」で刺身にするそうで、夫は地元の鰻屋さんにそのやり方を教わったとか。私もその技を覚えたかったのですが、今回はそんな大きなヒラメは釣れず、代わりに夫が釣った「コチ」を初めてさばいてみました。コチはヒラメ釣りでたまに引っかかることもあり、料理屋で出されるだけで一般にはあまり目にできない高級魚。

刺身はもちろん、唐揚げにしたら「鶏の唐揚げ」かと思うほどジューシーで驚きました。

まとめ

たまに夫が釣ってくる魚が食卓に並ぶことの多い我が家。旬の海の幸を新鮮なうちに食べられるなんて、実はプライスレスに贅沢なことですね。

釣りの楽しさも少し分かってきたところで、今度は自分で釣った魚の美味しさも味わってみたいと思います。また、娘や産まれてくる息子にも、自然の恵みがこんなに近くにある豊かさを伝えていきたいと、思いを新たにした体験でした。