最近”紙芝居”を見たことはありますか?地域の福祉まつりで、紙芝居をされていた南房総市和田町にお住いの、中台寿雄(なかだい としお)さん(以下:中台さん)に会いました。

中台さんは、歯科技工士のお仕事をされていますが、ボランティアで高齢者や子供たちを前に、にこにこ笑顔で紙芝居をしています。

紙芝居を始めたきっかけは?

関東唯一の捕鯨基地がある、南房総市和田町にある道の駅『和田浦WA・O!』に隣接した建物に、くじら資料館があります。こちらにくじら関連品のコレクターの方から提供された、くじらの紙芝居が10点ありました。

5年ほど前、この紙芝居を誰か上映しませんか?と募っていた際に、「私がやります!」と立候補しました。

紙芝居のことを教えてください!

昔は、紙芝居は商売でした。テレビもない時代は、子供にとってはとても楽しみで、自転車で公園に来て、駄菓子を買ったら紙芝居をしてくれました。いっぽうで、たくさん駄菓子を買った裕福な子は、前で見られるけれど、買わない子は、後ろで見るという『社会を勉強する場』でもありました。

私が演じる紙芝居は、くじらの物語のほかに、和田地域の特産である花卉(かき:草花のこと)栽培に関する伝記や民話、高齢者が懐かしいと感じるキャラクターのお話です。

和田町の真浦(もうら)地区に、山の斜面で花の栽培が行われている『天畑(てんばたけ)』という景勝地があります。そこに地域の幼稚園児たちが登って来たときに、『よみがえったすいせん』の紙芝居を演じました。この作品の内容は、太平洋戦争下の房総が舞台となった、花農家が花の栽培を禁じられるという状況を女の子の視点で描いた物語です。

やりがいと、今後したいことは?

今この時代に紙芝居をする意味は、高齢者に楽しい、懐かしいと思ってもらえることです。そして子供にとっては、新鮮に感じることでしょう。デジタルなものでない、生身の人間にふれてほしいという想いを込めています。喜んでもらえることに、やりがいを感じています。

現在はイベントに呼ばれてボランティアで紙芝居をしていますが、今後は自分から介護施設や幼稚園などに行きたいと考えています。

まとめ

中台さんの基本スタイルは、昔ながらの自転車での紙芝居です。今回は屋内でのイベントだったので、その姿を見られなかったことは残念でしたが、今回の取材を通じて、地域の伝記や民話を知るきっかけをいただきました。

本なら興味を持たないと読まない内容のお話が、紙芝居だとすんなりと、楽しく見られます。高齢者から子供まで笑顔にする、中台さんの紙芝居にこれからも注目です!