最寄り空港である稚内空港からは70km強。JR線や路線バスの本数も少なく、車での移動がベストとなる天塩町。訪れるには空港でレンタカーを借りていくというのも選択肢の一つとなります。ただし、夏はまだいいとしても、積雪時の運転は余所者には非常にハードルが高く危険を伴います。北海道の冬をなめてはいけません。雪道走行をほとんど経験しない九州からさすらってきた自分のような人間が運転しようものなら、空港の敷地を出る前にギブアップしてしまうでしょう。
しかし、そんな余所の人間でも問題なく天塩町へ行くことができるサービスがあります。「notteco(ノッテコ)」と呼ばれるそのサービスは、乗りたい人と乗せたい人を結びつける、いわゆるライドシェアをインターネット上でマッチングさせる仕組みです。今回さすらいワークで天塩町を訪れた際には、稚内空港~天塩町間はこのnottecoで往復しました。
では、nottecoとはどういうサービスなのか、その概要を体験レポートとともにお伝えいたします。
天塩町のアクセス問題を解決するnottecoというサービス
今回利用したサービス”notteco”は、全国でライドシェアサービスを利用することができるマッチングプラットフォームです。行きたい場所に同乗して行くこともできますし、自らがドライバーとして同乗者を募ることもできます。実はこの画期的なサービスを自治体で初めて公式導入を表明したのが天塩町なのです。
なお、天塩町での利用に限らず、nottecoを活用するにはまずユーザー登録が必要となります。
ライドシェアに限らず、このようなシェアリングサービスの場合はお互いの身分がしっかりしているか否かが非常に重要なポイントとなります。その点nottecoは免許証など身分証明書の提出が必須であるため、安心して利用することが可能です。今回の利用にあたっては自分も一から登録作業を行いました。登録作業は時間にして5分程度、免許証の確認に少し時間がかかりますが、それでも登録からおおよそ24時間以内には利用可能となります。
登録が終われば希望のルートを検索し、相手(ドライバー側)にコンタクト。メッセージのやり取りを経て承認されればOKです。今回のさすらいワークにあたっては、出発の1週間前に稚内空港~天塩町の往復ルートでそれぞれコンタクトし、サービス利用申し込みを完了しておきました。
訪問当日、稚内空港到着時はわかりやすい案内板をもってドライバーさんが出迎えてくれました。
なお、料金の支払いは到着後ドライバーさんに手渡しとなります。事前に料金提示を受けているため、トラブルになることもなくスムーズに移動完了です。夜道や雪道を安全に目的地へ運んでくれたドライバーさんに感謝ですね。
nottecoドライバーのとおるさんにインタビュー
今回、ノッテコのドライバーを務めていただいたのは天塩町在住のとおるさん。稚内市内で保険関係の仕事をしており、オフィスが稚内市内にあるため毎日のように天塩町~稚内間を車で通勤しています。
ノッテコにドライバーとして登録したのは約1年前。普段は1人で通勤しており、同乗者を乗せる余裕があるためノッテコドライバーとしての適性は申し分なし。雪道の運転も慣れているため全く不安はありませんでした。
とおるさんいわく、普段ノッテコを利用するのは観光客ばかりではないとのこと。天塩町には大きな病院が無いため通院のためにノッテコを利用する高齢者も多く、買い物などに利用するユーザーも比較的多いそうです。
また、天塩~稚内間には日本最北の温泉郷「豊富温泉」で有名な豊富町があり、湯治目的で利用されることもあります。まさにノッテコが地域の足として機能していることを実感しました。ただし、ドライブスケジュールは朝天塩発、夕方稚内発と限定されてしまうため、利用者を病院などで長時間お待たせするのが心苦しいともおっしゃってました。
まとめ
公共交通機関があるにはあるのですが、それが住民や観光客にとって実用的かというと決してそうではない天塩町の交通事情。必然的にノッテコが地域を支える交通機関となります。
とはいえ、まだそれほど利用率は高くなく、使い勝手という点でも改善の余地があるのは事実。ドライバーへの報酬も移動に費やしたガソリン代程度ためモチベーション維持に苦労することもありそうです。
そんなことを思いつつ、雪道をスイスイ運転するとおるさんには深く感謝。今回の訪問はnotteco無くして実現不可能でした。このnottecoが、もっと便利に、そしてより使いやすくなって、多くの観光客が天塩町へ訪れることを期待しています。