サルタヒコってだれ?

他の多くの場所と同じように、南房総にも古い歴史をもつ神社やお寺がたくさんあります。そのなかのひとつ、南房総市沓見(くつみ)に鎮座する莫越山(なこしやま)神社では

猿田彦(さるたひこ)の舞

という、五穀豊穣や天下泰平を祈る神楽が、神事として行われています。

猿田彦というのは、天孫降臨のさいに、天照大神に先だって天降られた瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を道案内した神様。面をつけ、奏楽の音に合わせ、剣などの道具を持ったり、手でさまざまな印を結んだりしながら、エイッと悪しきものを切り払う動きで、しなやかに舞います。

道の穢(けが)れを払い、神様をお通しする動きと、田畑で害虫や悪い気を払って、「豊かな実りが訪れますように」という祈りの動きが一体化しているのかも知れません。
とても優雅で、力強い神楽です。

小さな神社の大きな役割

でもじつは、莫越山神社の御祭神は猿田彦ではなく、まったく別の神様なんですね。

なぜ、という詳細は不明だそうですが、古い文献では、江戸時代には この舞が奉納されていたことが伝えられています。意外なのが、この小さな神社は、日本じゅうの全ての神社のなかで四社だけ、出雲大社、伊勢神宮、岡崎八幡宮と共に、「神酒を造る神社」として認められている ことです。

およそ1,100年前からずっと、宮司と氏子たちが、昔からの神酒造りを大切に守り、今に伝えています。神酒造りが許可制で、しかも、こんな田舎の小さな神社が、そんな大切な役割を果たしていたなんて。

有名じゃない神社にも、思わぬ歴史があるものです。南房総に移住してきて三年目の私は、「南房総の歴史や文化って、意外と深いんだな~」と感心しました。みなさんのご近所にも、驚くような歴史のある場所が、あるかも知れませんね。