鋸南町に在住している農業歴60年の石井さんにインタビューを行いました。石井さんは南房総市の隣の鋸南町で農業委員長を務めていたことがあり、新規就農者に対して直接面接をして新規就農者に土地を貸すかどうかを決めていました。
農作地を貸すだけでなく新規就農者の人たちに毎日アドバイスや作業を手伝い、機材の使い方など農家の先輩として様々なことを教えています。今回は農業の魅力と辛さ、新規就農を考えている人に向けたメッセージをインタビューしてきました。
石井さんの人生を振り返る!農業の楽しさと辛さ
農業歴60年以上の石井さん
石井さんは農家の長男生まれで、当時は農家の長男は農業高校へ進学し、家を継ぐのが当たり前のことだったそうです。60年間の途中で牛を飼う酪農農家になったり、花をメインに育てたりと様々な植物や作物を生産し試行錯誤してきたことも多かったとのこと。
石井さんによると、「最初は当然うまくいかないし、お金にならないことも多い。そんな中でも農作物がうまくできて美味しく食べること、周りの人に出荷したものが購入され美味しいと喜んでもらうことが何より嬉しく農業を続けられた理由だ」と話してくださいました。
ズバリ聞く!新規就農成功の秘訣とは!?
石井さんと新規就農者の山田さん
都会に疲れ、温暖な気候の南房総で農業をやろうと思う方も多いのではないでしょうか。
成功の秘密を尋ねてみると「まずは何よりも続けるぞという根性が大切。農家は2、3年は土地の整備で手一杯だろう」と言いました。実際に石井さんが面接をし、東京から新規就農者になり5年目にしてショウガを3トン以上も生産できる規模の農家になったという山田さんにも案内されお会いさせていただきました。
山田さんと会った帰り道、石井さんは「もっと大切なことは地元に馴染むことだ。地元になじむことで地元の農家はみんな機材を貸してくれたり、困ったときは力になってくれる。やっぱりそれが1番大事だよ。」と言っていました。
ちなみに新規就農者の山田さんは地元の消防団にも所属し、地域の祭りにも積極的に参加しているそうです。もはや地元の農家は知らない人間はいないそうです。農家をやるためには地域にとけこむことが何よりも大切なんですね!
これらからの農業のカタチについて
山田さんの畑で採れたショウガ。大きく形がいいので良い商品になるそうです。
「南房総はまず温暖で空気がおいしく、台風の被害が少ない。空気もおいしく農家をやるにはぴったりの場所だ」と石井さんは話してくれました。また「新規就農者や若い人には古い人間にはない発想がある。これからの農業は知恵を振り絞り、ネット販売や機械化などドンドン若い人の発想も取り入れて新たな農業としての形を作っていくのがいい」と言ってくれました。
鋸南町では新規就農5年目の山田さんがその先駆けとなってるそうです。山田さんは「5年目にしてようやく形になった。来年以降は安定を目指してさらに新しいものにも取り組んでいきたい」と強い向上心で語ってくれました。
まとめ
若い人の農業離れは進み、農作地は余ってきている現状です。そんな中で今回取材した中、私が1番心に響いたのはやはり「地域で生きるためには地域に馴染まないといけない」ということでした。
もちろん農家の知識や機械の知識はあった方がいいですが何よりも地域の人と馴染むこと。馴染むことで地域の農家は実戦形式で様々な知恵や機械の使い方を教えてくれ、高齢の農家から新規就農者へと農業は引き継がれていくのではないでしょうか。
新規就農者が地域の人から得た知恵をもとに新たな機械の導入やネット販売など、今までにない発想で農業を安定させ進化し続けている、そんな新しい農業のカタチを見ることができました。