地域の移住情報サイト「LOHAI」のさすらいワーク特派員として岡山県赤磐市を訪れた体験記の第二弾。前回は、現代美術家・アートディレクターの伊永さんと、赤磐市のアートスポットを巡ったことを書きました。

今回は、赤磐市を舞台にした映画の、ロケ地めぐりツアーに参加したことについて書きます。ではさっそく。

映画『種まく旅人 夢のつぎ木』について

『種まく旅人』という映画シリーズはご存知ですか?2012年に大分県臼杵市を舞台にした、『種まく旅人 みのりの茶』という映画が公開されました。陣内孝則さんと、田中麗奈さんが出演し、お茶の栽培を通じて農業の難しさと素晴らしさを描いたヒューマンドラマです。

第二弾の『種まく旅人 くにうみの郷』では舞台を兵庫県淡路島に移し、栗山千明さん、桐谷健太さん、三浦貴大さんが出演し、農業・水産業に携わる人々を描きました。

そして今回第三弾として、岡山県赤磐市にて『種まく旅人 夢のつぎ木』が撮影され、劇場で公開されました。高梨臨さん演じるヒロインの片岡彩音は、市役所勤めをしながら実家の畑で桃を育て、亡き兄が作ろうとしていた新種の桃を品種登録しようと奮闘します。そこに東京からやってきた、斎藤工さん演じる農林水産省の若き官僚、木村治が現れて……というストーリー。夢を追うこと、生きることの意味を描いた青春映画です。

今回のロケ地めぐりツアーには、この映画のプロデューサーを務めた秋枝正幸さんが同行し、赤磐市内の撮影スポットを巡るとともに、映画制作時のエピソードなどを紹介していただきました。

赤磐市中央公民館

岡山駅から出発したバスツアー。筆者が乗車したのは、宿泊地に近い赤磐市役所から。赤磐市役所のご担当者さんや、ツアーの添乗員さんにご挨拶し、バスに乗って出発したと思ったらもう最初の目的地へ。実は、映画の撮影に使われた赤磐市中央公民館は、市役所の隣の建物なんですね。乗車時間は数分くらい。

「はやっ!」とつぶやきつつ、バスを降りて公民館の建物内へ。劇場ホールの壇上が、映画で撮影された時と同じように大道具がセットアップされていて、「おぉー、映画と同じ」と感動する参加者さんたち。撮影で使用したセットを、きちんと保管しておいたそうです。大きな桃と、岩のセット。他にも、高梨さんが実際に着用した着ぐるみの衣装や、映画の小道具、台本なども展示されていました。


撮影風景の写真をみんなで眺めながら、プロデューサーの秋枝さんが、いろいろ解説してくれました。映画に登場する軽トラがマニュアル車だったため、急遽ご自分が運転することになったことなど、映画の現場に関するエピソードが面白かったです。

鴨前地区桃畑

さて、今度はきちんとバスに乗って、鴨前地区にある桃畑へ。映画に使われた実際の桃畑を見学しました。ここでも、映画に出てきた「赤磐の夢」という立て札が桃の木の根元に設置されていたり、なかなか芸が細かい。ツアーの担当者さんに、「あの立て札って、事前に準備したんですか?」って質問したら「実は今朝、朝早くに準備しておきました」とのこと。

「防蛾灯」という、桃の木を虫から守る照明について教わりました。映画の中では手動で消灯していましたが、本来は自動的に消えるものらしいですね。そういう風に、映画の中ではストーリーを伝えるための脚色があり、「映画のウソ」と呼ばれてる、と。英語で言うところの「artistic license(アーティスティック ライセンス)」ですね。現実とは異なるんだけど、物語をより効果的に伝えるためのちょっとした演出。今回の映画にも、そういった、ちょっとした創作がいろいろ存在するとのこと。

室町酒造

続いては、創業元禄元年で320年以上もの歴史がある酒蔵「室町酒造」さんへ。「雄町米」にこだわった酒造りで、モンドセレクションなど数多くの賞を受賞しています。社長の花房さん自らが、普段は公開していない酒蔵の内部や、撮影に使われたご自宅まで見せていただきました。


試飲した桃のお酒が本当に桃の味がして美味しかったので、「清水白桃酒」をお買い上げ。あとせっかくなので、「櫻室町 純米大吟醸 ゴールド雄町米の里」も購入。ツアー後に、ワイナリーも立ち寄ったので、帰りの飛行機では鞄の中がお酒だらけに。

その他のロケ地

ロケ地めぐりツアーはまだまだ続きます。昼食は、こちらも映画に登場した「カフェダイニング・セボン」にて。劇中に登場する特別メニューをいただきました。


その後、JR熊山駅に立ち寄り、斎藤工さんと高梨臨さんが座ったホームのベンチで記念撮影タイム。駅への入場券はお土産に。


その後、いちご狩りで食べ放題を堪能し、最後は「おかやま果物市場」へ。いちごでお腹一杯なので果物は買わずに、代わりに「きびだんご」をつい買ってしまいました。岡山といえば、桃太郎ですから。

映画のロケ地を巡り、プロデューサーさんのお話を伺いつつ、ランチやイチゴも堪能し、最後は買い物もしてバスツアーは滞りなく終了。赤磐市のいろいろなスポットを堪能しました。

ツアーの後、個人的に興味があったので、赤磐市竜天天文台公園にも訪れてみました。映画の中ではすごく近いイメージでしたが、実際に運転してみるとそこそこ距離があるっていうのは「映画のウソ」ということで。

天文指導員の辰巳さんからお話を伺いつつ、26年前のオープン時からずっとそこにあるという、400mmの巨大な天体望遠鏡を見上げて感動。毎週金曜と土曜には、晴れていれば「観望会」が開催され、参加費200円で星を見る会に参加できるとのこと。

ロケ地めぐりツアーの感想

ひとつの映画が完成するまでに、すごくたくさんの工程があるのだなぁ、と、秋枝さんのお話を伺いながら感心しました。そして、たくさんの人たちが作品づくりに関わっている。今回は、赤磐市の市役所や市民の方たちがみんなで映画作りに参加していて、そのパワーが感じられました。

実は僕自身、まだ映画は観ていないのですよ。このバスツアーに参加することが決まったタイミングで映画を観ようと思ったのですが、ちょうど劇場公開が終わっていて、まだDVDにはなっていないタイミングで、観ることができませんでした。

なので、こうして映画のロケ地を巡り、撮影の裏話を伺い、バスツアーを堪能したので、DVD化された映画を観られるのを楽しみにしています。

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