高校卒業と同時に南房総を離れ、ちょっと寒い地域にも住みました。その地域の紅葉はたいへん美しく、海沿い育ちの私が初めて見た光景。心の底から感動しました。真っ赤に染まったもみじ、黄金色に輝くいちょう、橙色や緑色もちょこっとアシストして日替わりの芸術作品で目を楽しませてもらえました。紅葉は感性を豊かにしてくれることを実感し、毎年紅葉の時期が待ち遠しかったのものです。
南房総へUターンが決まった時は、紅葉が遠のいてしまう、と寂しく感じました。と思いきや、ありました!遠い記憶の中から、小松寺があることを思い出しました!
私の紅葉の原点…小松寺
「紅葉狩り(もみじがり)と銀杏(ぎんなん)を拾いに小松寺に行きましょう!」
私が7歳の頃だったと思います。家族で小松寺を訪ねました。
きっと生まれて初めて見たであろう景色。いちょうの葉っぱで覆われた黄色いじゅうたんともみじの紅いろですっぽりと包まれた幻想的な風景。当時は今のように観光客もおらず、半ば放置状態だったぎんなんの実があちらこちらに散らばっており、たくさん拾わせてもらいました。実が潰れて地面がヌルヌルしてすべったこと、独特なにおいがしたこと、茶碗蒸しに入れて食べたこと。幼い頃のぼんやりとしたやさしい記憶と相まってノスタルジックな、素敵な思い出となっています。
いつでもやさしく包んでくれる…
秋晴れの11月末、胸おどらせながら久しぶりの小松寺に足を運んでみました。
あの時と同じ。紅色のもみじとじゅうたんのように敷きつめられた黄色いいちょうの葉っぱ。木々の合間から射す陽の光。すべてが私をやさしく包むように出迎えてくれました。こぢんまりした池の水面(みなも)に紅葉が反射し、更に美しく自然と心が和んできます。
境内に入るとでっぷりと太って寝そべっているネコちゃん。その横を微笑みながら参拝者の方々が通り過ぎ 自然、動物、人間が調和していて平安を感じ、贅沢な時間(とき)を楽しむことができました。
アクセスしやすい由緒ある古寺
小松寺のホームページをひらいてみました。起源は「文武天皇の御代(683年~707年)に小さな庵が建てられる」とのこと。京都の清水寺よりも約百年も長い伝統を持つ由緒ある古寺であることがわかり、驚きました。
千有余年ものあいだ語り継がれている「小松寺の七不思議」や里見八犬伝で知られる里見氏の財宝が埋められているという「里見氏の財宝伝説」という興味深い言い伝えがあります。
また平安時代に作られたたくさんの文化財が現存していることで有名なお寺でもあります。近年は大学や市との共同イベントの花まつりやもみじ祭りで盛り上がりをみせているこのお寺。他にもたくさんの催しがあるので、事前にホームページ確認しておくとよいでしょう。
深山にあるイメージの小松寺ですが、実はアクセスしやすい場所にあります。県道188号線館山大貫千倉線本線から車で3分程入った場所に位置し、5分も走れば館山市。館山市は東京、新宿、横浜等への直通高速バスが運行されていて交通の便がよいところです。遠出感覚ではなく気軽に訪問できます。
まとめ
穏やかな内房の海とたくましい印象の外房の太平洋、お花、新鮮な海の幸も 山の幸も1年中楽しめる南房総。加えて千年以上の歴史を持つ情緒あふれる古寺で紅葉も満喫できます。
自然のめぐみに囲まれて生活できることは素晴らしく、私自身も南房総の魅力を再発見しました。
小松寺ホームページ
https://www.komatsuji.jp/
※掲載情報は執筆当時の情報であり、現在は変更になっている恐れがございます。予めご了承ください。