10年以上勤めたITベンチャーを辞め、映像制作のフリーランスになって一年半。

それなりに順調なスタートを切れたという感覚はあるものの……。まだまだ、というより次から次へと、携わりたい仕事は増えています。涙腺を刺激する感動CMも手がけてみたいし、ミュージックビデオも作ってみたい。

なにより、旅好きを自認し国内国外を旅して回る人間としては、観光促進や地域創生の力添えができる動画も手がけてみたい。

だから。

普段開くことのないメルマガを開き、ソノトチワーク「移住したくなる♪なんとショートPVコンペツアー」を見つけたのは、ある意味必然だったのかもしれません。都内で開催されたガイダンスの帰りには「どんな動画を撮ったものか」と、アイディアを練り始めていました。

旅する事と暮らす事では、土地に期待する物は全く違ってくるはずです。人が温かく、自然豊かで景色が美しいからといって、自分が貢献できる仕事はその土地だと出来ないと感じたら、「暮らす」という決断をするのは難しい。

「暮らす」という選択をし、その土地で働いている先輩達のお話を、彼らが日々歩いているだろう風景と共に描くことで、移住夢物語でも移住残酷物語でもない、リアルな移住の姿を伝えられたら。

そんなコンセプトを現地でアテンドしてくれるスタッフに伝え、まれに見る大寒波の中、富山県南砺市に向かいました。

移住者と先住者が共存する場所

お話を伺った先輩は3名。

「エピスリー・スリジェ」というお店で、地元で取れた食材を使ったパン、お惣菜を作り、販売している坂口美沙さん。

世界遺産にも登録され、合掌造りの里としても有名な五箇山。その五箇山の「道の駅たいら」で、和紙職人として働く石本泉さん。


木彫(もくちょう)の里として有名な南砺市井波地区にある「やえもんや」にテナントを借り、フェアトレードのショップ「metio」を運営する竹内真理子さん。

移住のきっかけ、苦労した事、今の暮らしや仕事へのやりがい、地元の人たちとどう調和していったのかなど、少し意地の悪い質問も交え、お話をうかがう事ができました。自然の厳しさを受け入れつつ、南砺の人の優しさに支えられながら、この土地に馴染んできた過程を、どなたも朴訥と語るのが印象的でした。

3名とも、南砺の魅力として、「人の優しさ」を語ってくださいましたが、その優しさは僕が当初考えていた、田舎の人の優しさとは少し違って、いい意味でドライな物でした。

「私生活にグイグイと立ち入ってくるのではなく、一歩引いて見守ってくれている感覚」
「でも困っている時は、気持ちよく手を差し伸べてくれる」
「だから自分も、なにか南砺のためにしてあげたいと思うんです」

移住者と先住者が気持ちよく共存できる、とてもいい距離感に感じられました。

インタビューの合間を縫って、市内を案内していただきました。

南砺市クリエイタープラザ桜クリエでは、フリーランスやスモールビジネスのためのコワーキングスペースを月5,000円という格安の入居料で提供しています。昨今のテレワーク推進、多拠点という流れに乗って、都市部の企業や人の利用も多いようです。

館内にはカフェも併設されています。僕もこちらでハンバーグランチをいただいたのですが、カフェ飯と呼ぶにはあまりに本格的、かつオシャレなお料理が出てきて驚きました。

地元の素材を活かしたお料理は、素朴なおいしさに溢れています。

城端地区の善徳寺付近の街並み。水不足解消と観光のために作られた桜ヶ池。
おでんがおいしく、インスタ映えする外観の「春乃色食堂」。

なぜか地元の鮮魚店まで、市内のあちこちを案内していただきましたが、

一番胸に響いたのは、意外というか、当然というか、一面を覆う雪景色。

車道も、歩道も、その先に広がるはずの田園すらも白く覆ってしまう雪と、時折のぞく青空のコントラストは本当にキレイで、写真を撮るため、なんども車を止めていただきました。

南砺の人から「優しさ」を感じる理由

わずか二日の滞在ですが「南砺市の冬は厳しいなぁ」というのが本音ベースの印象です。

大寒波という事もあるのでしょうが、朝、昼問わず、至る所で雪かきをする姿をみかけました。「水道管が破裂して……」という話も聞きました。五箇山に足を伸ばした二日目は、生まれて初めてホワイトアウトを(車の中からでしたが)体験し、自分で運転してなくてよかったと心の底から思いました。

この冬の厳しさに飲み込まれたり、取り残されてしまう人を出さないために、南砺の人は「優しい」のかもしれません。

生活も、娯楽も、自分達で作り上げてしまう気質に、自然の厳しさから自分達を守るためにつちかった優しさが重なり

「一歩引いて見守りつつも、いざ困っていたら、さりげなく手を差し伸べる」

そんな控えめな優しさを持つ「南砺」の気質が育まれたのかもしれません。

放置でもなく、べったりでもない、程よい距離感を保ってくれる南砺の人たち。都会の人脈や仕事も残しつつ、自然に囲まれた環境に生活の拠点を作りたい。やりがいのある仕事と、暮らしを丁寧に積み上げる事。ライフとワークの両立を志し、多拠点志向を持つフリーランスにとって、南砺市はとても魅力的な街に思えます。

もっとも、南砺の人たちはその先を行っていて、ライフもワークも分けることなく人生丸ごと楽しんでいる印象を受けましたけど。

さて、僕は?

旧利賀村のある地域で、毎年演劇祭が行われているとの事。その開催にあわせ、次は少し長めの滞在をして、夏の南砺を思う存分楽しみたいな。と、思っています。

最後に

そんな2日間で出来上がった南砺市紹介PVはこちら!

 

この自治体へのさすらいワークのエントリーはこちらから受け付けています。

さすらいワーク詳細ページ