千葉県唯一の安房郡(あわぐん)鋸南町(きょなんまち)に住みながら、房総エリアを中心にお料理を出している木村優美子さん。この辺りでは、“女将”の名で親しまれている。
店を構えずフリーランスで料理を出す、女将流さすらいワークの一コマを覗いてみた。
どうしてお店を持たないの?
イベントで出した、天然酵母のパン2種類付き弁当
移住する前は、カフェや天然酵母のパン屋さんをやりたいと、ぼんやり考えていた女将。でも、田舎に行けば外食人口は減り、家賃や光熱費などの基本料金は、支払わなければならない。そして、店を持てば店のカラーが出来てしまう。
すし屋でパンは出せないし、日本料理屋でハンバーグは出せないのだ。イベントで天然酵母のパンを販売したり、ママさんの集まりにお弁当やビュッフェを提供したり。女将は、イベント内容に合わせてメニューを考え、料理を提供している。店に縛られることなく、イベントのカラーに合せて料理しているのだ。
SNSで広がる、繋がる、新たな企画
パーティーで出すオープン稲荷を作成中の女将。イベントで出した料理をSNSへ投稿すると、今度家で料理してよ、と友達に頼まれる。
そこで料理を提供すると、今度うちの店で料理しない?と、その場に居合わせた店主との特別コラボが生まれる。その様子をSNSに投稿すると、また次の話が舞い込む、というように、自分の意図しないところでどんどん話が繋がって、今のライフスタイルができたと言う。
その流れが都内にまで広がり、100人分の料理を提供したこともあるとか。
女将の由縁は着物姿にあり!
厨房を覗きに来るお客さんやスタッフと、談笑しなが ら盛り付けをする女将。この日私が訪れたのは、洋風の一軒家に23名のお客様を迎えるパーティー会場。
着物姿の女将が、大きなお皿に彩り良く料理を並べる姿は、とても堂々としている。様子見にキッチンへ出入りするお客さんも多く、彼らとの会話も楽しんでいる料理の現場は、とても華やかだ。
料理を楽しむだけでなく、着物姿の女将が料理する現場を見たいのも頷ける。
まとめ
木村さんのご主人は料理人で、都内で自分の店を持ち、腕を振るっていた。夫婦と、従業員と一緒に店を回していた経験があるからこそ、店を持たない、店に捕らわれない、女将流のさすらいワークが実現しているのかもしれない。