わあ!こりゃすごい!
窓の外を見たら銀世界でした。
なんて美しいところに来てしまったんだろう・・・こんな風に思える仕事ってなかなかないですよね。光の中を、さらさらと粉吹雪が舞っています。
東北に入ってから、レンタカーを借りてみたら、すごく良かった!
まず、スタッドレスタイヤが標準装備!
そして乗ってきた車は預かってくれます。
スタッドレスタイヤを持っていない皆さんでも、大丈夫ですよ。
ちゃんと地元の皆さんがレンタカーなどの仕組みを作ってくださっているのですね。
今回僕をご案内いただいたのは、八幡平市地域おこし協力隊の菊池光洋さん(写真右)と、酪
農家の伊藤信也さん(写真左)。
伊藤さん自慢の牛舎見学!!
初対面なのに、ものすごく話がはずんでしまい、ワークをするよりお菓子を食べながらお話す
る方が長くなってしまいました・・・。
地域の寄り合いみたいで、嬉しくなります。
さて、まずは酪農のお仕事を見学!
牛がいました!こんなにたくさん!!
伊藤さんの乳牛はこの建物の中に36 頭。
毎日9時と21時に、1日2 回、乳搾りをします。
ちなみに、僕の気になっていたこと、聞いてみました。
「アニメのハイジとかで、絞ったそのままの乳を飲むシーンがあるけど、実際は殺菌しないでも大丈夫なんですか?」
そしたら、伊藤さんは
「いや、俺は普通に飲むよ。あったかくて乳そのものの味がおいしい」
「まあ、お腹の弱いやつは無理だろうけど」
とのこと。さすがです!
いつか僕もこっそりチャレンジしてみたい、と野望を温める・・・。
酪農家の手仕事、頭絡作りを体験!
さて、今回体験させていただくお仕事は、牛の頭にかかっているこちら、「頭絡(とうらく)」作り。
なんと材料は、飼料(牛が食べる草)を梱包するのに使われていた素材なんですね。
ロープの完成品の頭絡は見たことあるけど、梱包材をリサイクルしているものを見るのは初め
て。
皆さん、ワラからナワを作ったことはありますか?
今回も、その要領で綯(な)いながら、頭絡にしていくのです。
これがなかなか難しい!
ワラでも、慣れてない人は難しいのに、ビニール素材だから滑る。
恐る恐る、素材を綯います。 伊藤さんも手取り足取り、丁寧に教えてくれます!
僕達が、あんまり遅いと、伊藤さんが手伝って仕上げてくれます。
それが、ものすごく早い!!
あれ?という間に仕上がっていきます。
僕が30分かかって綯うところを、伊藤さんは1分で仕上げます。草鞋も1足1時間くらいで
作ってしまうそうです。
この差はいったい・・・。
出来上がりました!こちらが「頭絡」です。
あれ、ところで伊藤さん、こちらは何ですか?
実は、伊藤さんはこの地域の伝統行事「平笠裸参り」の保存会長を務めています。
平笠裸参りって何?
江戸時代に、岩手山噴火の沈静化の為に行ったのが最初だそうです。
当初、男性のみで行われて来ましたが、その後途絶えたこの行事を、戦時中に残った女性が夫
や息子の武運長久を願い復活させたものが、現在にも受け継がれているそうです。
過去に菊池さんが撮影した画像をいただきました!
なんて綺麗なお祭り!
練り歩く人は験台(腰蓑のようなもの)を付けています。
今はビニールで作りますが、昔はポプラの木を削って作っていたそうです。
平笠裸参りが行われるのは毎年1月8 日。
こんな寒い時期に、8時半~13時半までおよそ8kmの道のりを歩きます。
かなりの荒行のように思いますが、毎回30~40人もの人が行列に参加するそうです。
11月の暮れから、草鞋などの装身具を、ワラから作っていきます。
新しい年を迎えるお祭りの為に、年末年始はみんなこうして準備をしながら迎えます。
実はこの裸参り、どなたでも参加できます!
毎年八幡平市観光協会が参加者を募集しているのです。
若者も高齢者も、男性も女性も、いろんな世代が一緒になって作っている。
菊池さんも、最初はこの募集を見て裸参りに参加し、この地域の人や自然に惹かれて2年前に
移住したんだとか。
「年齢を超えて一緒にいられる。懐の深い八幡平の皆さんに惹かれたんです」
東北の33の神様とは?
行列の人が持っている旗竿には東北の山の数だけ、33の神様が表現されています。
そして、裸参りの始めと終わりには、33の拝詞を読み上げるのです。
この行事は、平笠裸参りだけではなく、毎月8日に集落の方が集まって行っているそうです。
現代において、このような文化が残っていることが、すごく大事なことだと思うのです。
この文化がなくなったら、きっとナワを綯う技術も忘れられてしまう。
生活そのものが文化の継承。
伊藤さんは常に、余った素材を綯(な)って、頭絡(とうらく)を作っている。
これをお店から買ってきてしまうことは簡単。
でも、自分で作る方が、素材も無駄に捨てなくて済むし、ナワを綯う技術も毎日使われる。
便利なことより、こういう手間のかかる文化がある方が、長い目で見たらとても大事なことな
んじゃないかと思いました。
なんていろんな話を聞けたんだろう!
伊藤さん、菊池さん、ありがとうございました。
八幡平市は、また訪れてみたい町の一つになりました。
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