岩手県八幡平市の上坊牧野にある一本桜。春になると観光スポットになる。
フリーランスであるメリットは、自分の好きな時間で好きな場所でシゴトできる事だと思う。
好きな時間でシゴトできる事は、良い事だと思うけど、好きな場所は、自ずと普段、自分が行きやすい、若しくは良く通っている、又は、クライアントの会社のスペースを間借りする、といった場所を選択してしまうのではないだろうか。
僕自身そうだ。
僕の名前は、ティウス。フリーランスでシステムエンジニアをしている。
都会の生活に慣れている僕とって、都会を出てシゴトする事はなかった。
自然豊かな場所で、軽い農作業して、リフレッシュした状態でシゴトする。
そうする事によって、新しい発見が得られるかもしれないし、もしかしたら、地域が抱える課題を発見し、それを解決するWebサービスが思いつくかもしれないと思い、さすらいワークで岩手県八幡平市の体験をしてみようと思った。
八幡平市での暮らし方と働き方を体験してもらい、市の魅力を感じ取ってもらう「お試し居住」事業を行っており、酪農と農作業を体験すると、宿代が何泊しても1万円になる!(えっ、1万円!?)
酪農と農作業の体験時間は、大体9時~13時なので、午後から自分のシゴトできるのです!
これは充実した時間が送れそうだと思い、深夜高速バスに乗り込んだ!
岩手県八幡平市へやってきた!
岩手県八幡平市にやってきました!
降り立ってみると大自然で、11月上旬ということもあり、紅葉が綺麗!
だけど、寒い!最低気温0度。。
あまりにも寒かったので、道の駅にしねの店内で豚まんを買い、まず温まる。
食べた後、酪農体験をするために、松本牧場へ向かった。
松本牧場で酪農体験と酪農家経営の話!
八幡平市の魅力を感じ取ってもらう「お試し居住」のプログラムに沿って、酪農を体験する事になった。松本牧場はご家族で経営している酪農家で、始めての酪農体験させてもらうと共に、思いがけない酪農家経営について教えてもらう事になる。
松本牧場に到着すると、まず迎えてくれたのは、松本牧場の番犬である、アイヌ犬の「ダイスケ」。乗ってきた車を降りた瞬間、ものすごい勢いで吠えてきて、僕を怖じけさせた。番犬としての役割は、十二分に果たしている。
酪農体験で、牛の餌やりとバターを作る
松本さんから手解きを受けて、子牛にミルクを飲ませる事になった。
子牛に与えるミルクは、乳牛の体温に合わせる必要があり、冷えたミルクが入ったバケツをお湯に入れて温める。そのミルクを入ったバケツを、ミルクバーという牛の乳首が付いたバケツに移し替えて、子牛に飲ませる。
実際に飲ませて見ると、ミルク約3リットルを凄い勢いで飲む。飲み干した後も、飲み足りなそうにミルクバーに吸い付いてくる。他の子牛に飲ませていると、もう既にミルクを飲ませた子牛が、その時飲んでいる子牛が零したミルクを舐めるのだ!!勢いに驚かされた。。
子牛のミルクやりの終了後に、乳牛の牧草を食べさせる事になった。
乳牛の食事は、牧草だ。直径1.5メールぐらいある牧草ロールをトラックで運ぶ。覆っている袋を破ると、牧草がサランラップの様な形状に巻かれており、剥がし方は、サランラップと同じで、最も外側の層から引き伸ばして、剥がしていく。
牛は、本当に食欲旺盛だ。牛舎の通り道が、すべて牧草で埋まってしまうぐらい敷いた。
牧草はよく乾燥されたものが良い。水分を多く含んでしまうと、水分で牛はお腹一杯になってしまい、十分な栄養が得られないからだと言う。
牛に餌を与える作業を終えたら、バター作りを教えてもらう事になった。
作り方は、簡単で、空のペットボトルに生乳を200ml、生クリームを40ml入れる。そしてそのペットボトルをひたすら振る。20分ぐらいひたすら振ってるとバターとして固まる。今回は、投入した生乳がすべて固まった訳ではなかったので、固まりきれなかった生乳を抜き出すと、キレイな形のバターが現れる。
一見、どのようにペットボトル容器にある、口より大きいバターを取り出すのか迷うかもしれないが、マヨネーズを容器から出すのに似ている。ペットボトルの口付近に、バターを転がし、容器を握る様にして、空気で押し出すのだ。
よし、バターを食べよう。
美味しい!味としては、塩を入れるなど、味付けしていないので、限りなく生クリームの味。乳の味の濃厚な生クリームでした。
もうお昼時。バターを食した後は、昼食の時間だ!
牧場内の事務所にて、松本さんの娘さんが、お昼にお弁当と豚汁を持ってきてくれた!ご馳走になってしまった。
ここで、ゆっくりとした時間ができ、松本さんによる酪農家の経営についての話が始まる。
松本さん談話!松本さんは気鋭の経営者だった
松本さんは、一代で牧場を築いた人で、創業者である。
最初は一頭のメスのホルスタインから始めたとのこと。
そもそも酪農家経営ってどうやって成り立ってるの?
酪農家のシゴトは、メスのホルスタインから、生乳を生産して、JA全農など指定の団体に納品し、その産出量の対価で、売上を立てる。実はそれだけではない。
安定的に牧場を経営するためには、メスのホルスタインを適切に育て、出産させて、頭数を増やしていかなければならない。しかし、出産にはオスも生まれる可能性がある。当然オスから乳は絞れない。では、オスが生まれた場合はどうするのか。
実は、生まれたオスを肥育を行っている牧場に、値段は高くはないが、売ることができるのだ!つまり、生乳販売と個体販売の2つが売上の柱になる。
ちなみに、メスが生まれすぎて、牛舎で管理できなくなったとしても、問題はない。なぜかというと、全国的にメスが不足状態があるので、他の酪農家にオスよりも数倍高い値段で、メスも売ることもできる。
ロジックは単純そうに見えるが、実は複雑。僕は知らなかったのだが、メスのホルスタインは、人間の女性と同じで、子供が生まれて約一年間しか、乳は出ない。メスの発情期を見逃さず、種付けして、出産させ続けないと、売上の肝である、乳が絞れないのだ。なので、一頭一頭、乳牛のライフサイクルを管理する必要があるのだ。
ん??一頭一頭の乳牛のライフサイクルを管理?これは。。!
番外編・牛のライフサイクルを管理するWebサービスの誕生!?
発情時期、過去の出産時期、メスの出産頭数など、乳牛をWebで管理できると良いのではないだろうか。。これは、酪農家の情報管理を手助けする新規Webサービスになるのではないか??
胸熱の瞬間!!?
一応、Google検索で「乳牛 管理 アプリ」でこそっと入力してみる。
がーん。。
もう既に、牛を管理するWebサービスがリリースされてた。
「ファームノート」。(http://farmnote.jp/)
農業カンファレンスも、そのサービス提供会社が主催してるし、かなりワークしていそう。。デザインもイケてそうだし、スマホアプリもリリースされてる。。
話を戻そう。
経営を左右し兼ねない産み分け
酪農家は、メスのホルスタインの頭数を増やす事が最重要である。では、メスが必要なら、生まれてくる子牛の性別をコントロールできないのか?ここまで読んで、そういう疑問も出てくるかもしれない。
牛の種付けは、人工授精が一般的であり、完全ではないが、コントロールも可能だ。メス9割、オス1割の確率で産まれる凍結された精子が販売されている。だが、問題がある。その精子は価格が高いらしい。しかも必ずしも受精する訳ではないし、オスが生まれる確率も1割だが、ある。なので、メス5割、オス5割の確率で生まれる精子で種付けする酪農家が一般的だと言う。
牧場経営の難しさ
扱っている商品自体が大きいという事もあり、支出も大きい。主な内訳は、設備投資、土地代であるようだ。日々の支出もそうだが、急な支出があった場合、それに対応できる資産も準備しておかなければ、廃業することもある。
つまり、上手な資金繰りが問われるのだ。
酪農体験の終わりに
正直、酪農家がこんなにエキサイティングな商売だと思わなかった。つなぎを来ている松本さんが、一流のビジネスマンに見えて、松本さんの虜になった。
僕がシステムエンジニアを辞める事があったら、ぜひ酪農家を検討したい。
シゴトしながら、今日を振り返る
新しい場所でシゴトしたことによって、新しい発見があった。酪農の知られざるビジネスモデルも新しく大きい発見だけど、知らない土地で現地の人と交流してみると、土地特有の職種の人がいたりして、とても楽しい。つまり、知らない土地で現地の人と交流する事は、新しい発見が生まれやすい。それが新しい発見だった。
今回の体験だけでも、さすらいワークをしてよかったと思う。それでも、次の体験でどんな新しい発見があるのだろうかと、ワクワクしながらシゴトを進める。
今回は、新規Webサービスを思いつかなかったけど、次回こそは。。後編に期待!
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