さすらいワークで訪れた岩手県八幡平市。
今回は、牛の頭絡(とうらく)を作るという珍しい体験をさせていただきました。

でも、本当の宝物は、体験の合間に地域の皆さんが語ってくださった、いろんなお話。
地域おこし協力隊の菊池さんや、酪農家の伊藤さんからも、八幡平の自然の魅力や、移住したらどうなるの?というお話を伺いました。

僕はふだんは森を案内する森林インストラクターです。
森林インストラクターの立場から、八幡平の自然のこと、地域の魅力、ちょっと語ってみたいと思います。

八幡平にはどんな自然があるの?

まずは、何と言って「雪」ではないでしょうか。
適度な湿度と気温でないとできない、この地方独特の粉雪!

じっと立っていると、キラキラ光る粉雪が、煙のように雪原を走っていきます。

一晩車の中に置いておいたペットボトルの水は、凍ってしまいました!

それから、車で走っていると目につくのは、背の高いアカマツの林。

ここにあるアカマツは、ナンブアカマツと言って、通常よりも良質な材が取れる、岩手県の県木なのだそうです。雪とまっすぐな幹が並ぶ景色はとてもきれいです。

僕の住む関東近辺では、よくスギやヒノキが植林されていますが、八幡平くらいまで北に来ると、その地に合った種類の樹木が、建材として植えられているのです。

この地域で植林されるのは、もう一つの樹種はカラマツ。
カラマツは秋になると針のような葉っぱが紅葉し、キラキラ光りながら落ちてくるのです。
その時期の森は本当に美しいので、ぜひ訪れてみてほしいです。

注:写真は別の地域、別の季節のカラマツです

そして、八幡平と言えば、岩手山の大自然が生んだ「焼走り」。
かの宮沢賢治が「強力な鬼神達の棲みか」と表したことで有名な、国の特別天然記念物です。

岩手山の噴火の時の溶岩が、不思議な形をしてどこまでも広がっています。

今回は時間がないから観に行けないな、と思ったら「10分で着きますから行ってみましょう」と、体験の合間に菊池さんが連れて行ってくれました。

菊池さん、雪を掻き分け、進みます!
なんと、焼走りもこの季節は一面の雪景色でした!!

菊池さんの長靴も、すっかり埋まってしまうくらい。

焼走りは雪の下に埋もれてしまっていたけど、季節ごとに景色を変える八幡平に、僕は大興奮!東北の自然のダイナミックさを感じました。

菊池さん、連れてきてくださって、どうもありがとうございます!

八幡平の地域ならではの産業は?

こんな大自然の中に暮らしたらどんなに素敵でしょうか。
八幡平の皆さんは、主に農業や酪農を生業にしている方も多いようですが

「八幡平ならではのお仕事って、ありますか?」

と質問したら面白い情報が!
菊池さんによると、八幡平での主な産業の一つに、リンドウ農家というものがあるそうです。
山野草として知られるリンドウは、その美しさから多くのファンがいます。
このリンドウを育てて、卸すお仕事なんだそうです。

調べてみると、なんと八幡平はリンドウ生産日本一!
国内シェア35%以上を誇り、海外においても、人気があるそうです。

リンドウは、5月から支柱を立てて、畑作りなどを行い、6月下旬から採花が始まり9月下旬くらいまでが出荷のピークとなります。本格的になると、1日10000本を出荷する。

リンドウ農家は、初夏から秋まで精力的に働き、冬から春はシーズンオフとしてゆっくり休める。そんな仕事に憧れて、定年後の仕事として始める地元の方もいらっしゃるそうです。

八幡平に移住してくる人は、まだそれほど多くないそうですが、最近では引退した馬を引き取って、乗馬用に訓練する事業を始めたり、馬ふん堆肥でビジネスを始めたり、何か新しいことを始めようとする方も増えているのだそうです。

いずれの仕事も、気候など地域の特色を生かして、四季の移ろいと共に内容が変わるもの。
これが、都市部にはない、地域ならではの魅力の一つだと感じました。

この大自然の中で、地域の皆さんとどんなものを作り上げていけるでしょうか。
そんな人を応援して行きたいと、菊池さんは話しておりました。

こんなお話、普通はなかなか聞けないですよね。
観光ではなく、地域の方と直に触れ合うからこそ聞ける、地域の魅力。
八幡平の皆さん、どうもありがとうございました!

 

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