さすらいワークとかノマドとか、縁があるようであまりなかった自分が、いざさすらってみたらどうなるのか?

そんな好奇心を受け止めてくれたランサーズさんからお声がけいただき、2018年10月下旬にさすらいワーカー兼観光フォトライターとして3泊4日の奄美の旅に行ってきました。実は九州人でありながら奄美には1度も行ったことが無い自分。奄美を飛び越えて徳之島とか沖縄とかなら何度もあるんですが、奄美大島には初上陸となります。

行く前の奄美のイメージですが

「沖縄のようなリゾート感あふれる南の島」

「横浜DeNAベイスターズが秋季キャンプをするくらい暖かい場所」

「ビーチリゾートや自然遺産があちこちに点在する楽園」

でした。読者のみなさんの多くも同様のイメージをお持ちじゃないかと思います。

さて、今回のさすらい体験でこのイメージがどのように変わったのでしょうか。到着から現地でのさすらい体験をさまざまな角度でレポートしてみたいと思います。

なお、読む前に一つだけご了承いただきたいことが。

普通、観光レポートといえば、観光地(スポット)の良いところだけをピックアップして適度に脚色し、「どうです?ここいい場所でしょう!」というテイストにします。観光フォトライティングの基本中の基本です。しかし、それだと面白くないんです。ライターの感情や感想が薄れてしまうんです。というわけで、今回はありのまま、見たまま、自然体の奄美の様子をお届けしたいと思います。

 

大都会福岡から一路鹿児島の離島奄美大島へ

▲福岡~奄美大島はやや小型のエンブラエル170で運行されています

奄美でのさすらい体験、表現を変えて言うならば「南の島でリゾートワーク」という誰もが憧れる夢のような企画。「どう?うらやましいやろ?」と福岡の友人にドヤ顔で自慢しながら乗り込んだ奄美空港行のJAL便。福岡からは毎日1往復飛んでいるのでアクセスはまずまずです。

朝7時発の1便しかないので寝坊しないように目覚まし3台必須ですが。

ともあれ、奄美空港までは約1時間半のフライト。南国リゾートだからきっとヤシの木のアーチが出迎えて、レンタカーの係員の方もアロハシャツを着て首にレイをかけて出迎えてくれるんだろうなとベタな妄想を抱く俺。もはやハワイ感も混じってますが気にしない。そして朝8:30に降り立った奄美空港。

▲最近リニューアルされた奄美空港。気温と湿度が高く、南の島に来たと実感する瞬間です

・・・普通の地方空港です。ヤシの木もアロハシャツのお出迎えもありません。

気を取り直して予約していたレンタカーの受け取りに向かいます。大手レンタカーだと風情が無いので事前に地元の格安レンタカーを予約していました。24時間4,000円という優しさあふれるプライスです。

そこで貸し出された車は、赤い塗装がところどころ薄くなって地金がみえそうになっている、走行10万キロを超えるかなり年季の入った車でした。

「貸出前に一緒に傷の確認をお願いします。まあ傷だらけですけどね」という係りの方の正直なセリフが忘れられません。有名な観光地にありがちなお高くとまった対応とは雲泥の差です。

とはいうものの、ここまでで頭の中の「奄美は南国のお洒落なリゾート」「木陰のハンモックでハイボール飲みながらお気に入りの小説を読む」というベタなイメージがガラガラと音を立てて崩れていくのを感じます。

「そうか!ここはリゾートじゃない、普通の離島なんだ」

この考えが、半分は当たっていて半分は大きく外していることを、この時はまだ知る由もありませんでした。

 

やっぱりここは南国リゾートだ!

▲あやまる岬展望台。絶景です!

レンタカーで走り出して約10分。奄美随一の観光地として名高いあやまる岬へ到着です。駐車場には団体客を乗せた大型観光バスやタクシーなどがずらっと並んでいます。このあたりはさすが観光地といったところでしょう。

早速展望台へ、と向かう途中の歩道から見える海が既に圧巻!!

エメラルドブルーに輝く海、気持ちよく晴れ渡った空、パラグライダーを楽しむ観光客、色鮮やかに生い茂ったソテツ群etc

「ヤバい! 何この解放感!!」

眼下に広がる雄大な景色にしばらく言葉が出ません。

▲息をのむあやまる岬からの絶景。風が心地よいです。

▲見渡す限りの青い海と水平線。キラキラして眩しかった!

普段ライターとして活動しているせいか、「ヤバい」といういろんな意味を持つ伝わりにくい言葉はほとんど使うことがありません。むしろ「ヤバいって何だよ!」と突っ込む方です。しかし、この時ばかりは最初に発した言葉が「ヤバい」だったのは、それだけこの景色に心を奪われていた証なのかもしれません。

あやまる岬でしばらく汚れた心の洗濯をして、次に向かったのは最近インスタ映えスポットとしてメジャーになったハートロック。空港から奄美市街地へ向かう途中にある、ハートの形をした岩礁です。干潮時にしか見ることができません。

▲インスタ映えスポット「ハートロック」。海の透明度が都会とは段違いです。

近くの駐車場に車を止めて砂浜に足をとられながら歩くこと10分弱。ハートロックの周りには若い女性観光客がわんさかと押し寄せ、ハートに見える角度を調整しながら何枚も自撮りにチャレンジしています。ざっと20人以上はいたでしょう。

若い女性に囲まれてキャッキャウフフしながらテンションMAX状態で観光フォトライター的な写真を撮ってきました。

ウソです。

女性特有の華やかなオーラに気後れしつつ「俺、仕事だから。仕事。写真だけとってさくっと帰るから」と心の中で言い訳しながらそそくさとその場を後にして今晩宿泊するホテルへと向かいました。

せっかくなのでリゾートホテルをと思い予約したのは「ネイティブシー奄美 アダンオンザビーチ」。海沿いに立つ小さなリゾートホテルです。

▲部屋数はそれほど多くない家族的な雰囲気です

チェックインし、窓を開けると目の前はプライベートビーチ! アクティビティはあまり多くないですが、沖縄の万座ビーチにも負けていません。部屋のバルコニーにはハンモックこそないものの、テーブルとチェアが用意されており、波の音を聞きながらドリンク片手に小説を読むことができます。

▲2階の部屋からの眺め。ここでしばらく作業してみました。

この日、到着時に感じたリゾートらしくない島の印象が徐々に覆されていくのを感じます。

「そっか、奄美はリゾート感をアピールしていないだけで、リゾートとしての資質は素晴らしいやんか」

 

▲月明りの下でビーチを散歩することもできます。

 

めちゃくちゃうまいぞ奄美飯!

▲分厚くカットされ、脂ののった本マグロの刺身

この日の夕食はホテルのレストラン。とりあえずビール、そして店員さんおすすめの「もずく」と「本マグロの刺身」をオーダーしました。

まずはもずくが運ばれてきたのですが、太い!! 今まで食べたことの無い太いもずくと、使われているお酢の風味が独特です。多分、果実酢かな?これはビールが進みます。

続いて本マグロ。自分が住んでいる福岡も魚は美味いと有名ですが、実はマグロを含む赤身は太平洋側の方が美味いです。白身魚なら負けないけどね!

マッグッロ♪マッグッロ♪マッグッ~ロ♪(オリジナル曲)

思わず歌ってしまいたくなるような美味さ。分厚くカットされた刺身と甘い醤油の相性は抜群です。

やはり海が近い(当たり前)だけあって海の幸は激うまですね。こんな美味いものが身近にあるというだけでも幸せなことだなと思います。

奄美飯ということでは、翌日に食べた鶏飯も特筆もの。鶏飯専門店「ひさ倉」は、郊外にあるにも関わらずお昼時には駐車場が満杯になり行列ができるほどの人気店です。観光バスも乗り付けています。

▲観光客にも地元の人たちにも大人気の「ひさ倉」

ちなみに、鶏飯とは奄美地方の郷土料理です。

奄美大島の代表的な郷土料理。 江戸時代の頃、薩摩の役人をもてなすために「殿様料理」とも呼ばれ、むかしは鶏肉の炊き込みご飯のようなものであったらしい。

 戦後もっとあっさりしたものをと工夫され、ご飯に細かく裂いた鶏肉と錦糸卵、パパイヤの漬物、しいたけ、ネギ、たんかんの皮、海苔、紅ショウガなどさまざまな具材をのせ、丸鶏を煮込んで作ったスープを注いで食べる現在の美味しい鶏飯になりました。

引用:ひさ倉ホームページより

茶碗に白ご飯をよそおい、好きなだけ具をのせてスープをかけていただきます。けっこうあっさりしていて、飲んだ翌日などにはありがたい料理です。たんかんの皮の香りがいいアクセントとなって箸が進みます。美味いです。何度でも言います。美味いです!

具の種類やスープの味は店によっていろいろと差があるそうです。どのくらい差があるのか、次回来た時には食べ比べしてみたいなと思いました。

さて、今回の滞在中、奄美の地元グルメ以外にもいろいろな食事を楽しみました。地元で有名なカレー屋さんのカレーランチ、郊外にあるお洒落なカフェのチキングリルなどなど、どれもめちゃくちゃ美味しかったです。旅先で食べるメシは美味いという”旅行補正”があるのは事実ですが、それを抜きにしても美味いです、ほんとに。

▲あおさの天ぷら。サクサクの食感とあおさの香りがマッチして美味しかったです

 

▲その他のメシもホントに美味い。どこに行っても美味い。

ノマドワーカーにとって、仕事の環境と同じくらい美味いメシというのは重要です。その意味において奄美は”完成されたノマドワーク場所”と言ってもよいなと思ます。

 

奄美の地域情報発信を一手に担う「しーま」の魅力的な人達

▲しーまオフィスでの打ち合わせ

さて、今回のさすらいワークをアテンドしていただいたのは、奄美市に拠点を置く株式会社しーまの皆様。奄美エリアの地域情報発信及び各種コミュニケーションを支える事業を展開している会社です。きめ細かいスケジューリングと親身なアテンドのおかげで快適なさすらい体験ができました。

取材先で出会う島の人たちの温かさ、そして話好きでホスピタリティ溢れる対応。一般的に見知らぬ人には警戒心が強いと言われる離島において、初対面の自分にここまで優しくしていただけるのは、普段から地域と深いコミュニケーションを構築しているしーまさんのお力添えがあったからこそだと思います。

▲今回ご協力いただいた株式会社しーまの皆様。右から代表の深田様、麓様、前田様

いうまでもなく、しーまの皆さんの人柄も最高。酒を飲みながらのコミュニケーションスタイルは今や”古い”とされがちですが、その古さが心地よかったりします。

この日は1次会の後、当然のごとく2次会へ。おネエ様の雰囲気を醸し出すマスターが営む昭和テイストあふれるディープな喫茶店で2次会を行い、翌日の講座に向けて結束を固めました。

▲やっぱ飲まないとね ってことでとりあえず飲む面々

 

市役所での取材で見えてきた奄美の自然体

ところで、今回のさすらいワークに関して、奄美市役所の方から「奄美×フリーランス」の実態や今後の施策などを聞く機会がありました。

奄美市は「フリーランスが最も働きやすい島化計画」と名付けた施策を行っており、2020年までに200名のフリーランス育成を目標に掲げています。あわせて50名以上のフリーランス移住者を呼び込むことも発表しており、その実現に向けてさまざまなアクションを行っています。

参考:フリーランスが最も働きやすい島化計画

その一環として、市の商工観光部商水情報課内に「フリーランス支援窓口」を設置。奄美市でフリーランスとして働く際の相談やコミュニティ形成促進などを一手に担い、フリーランス寺子屋などの育成セミナーも随時実施しています。

通常、移住促進策というと「移住者には〇〇円支給します、家賃を〇〇円補助します」のような支援策を打ち出すことが多いですが、奄美市の場合は”お金で釣る”ことは無いのだそう。

これは、奄美に来て、奄美を好きになって、移住先として納得してもらった上で移住してもらうことに主眼を置いているためです。いわゆる自然体で取り組んでいる姿勢に好感を持ちました。

そういえば、この自然体というのが奄美のひとつのキーワードになっているような気がします。リゾート地としての高い資質を持ちながらあまり手を加えず自然を活かした観光地づくりや、やたら大きな箱モノを作るのではなく古い施設を活かした各種拠点づくりなどなど。観光客として行くと多少物足りなさを感じますが、ワーカーとして行くと普段と変わらず効率的な仕事ができて、かつリゾート感も味わえる。

なんだ奄美って最高じゃないか!

 

奄美の印象まとめ

人が暖かい、飯が美味い、多くのフリーランス仲間がいるect

奄美はフリーランスが移住して働くにはものすごく魅力的な場所であることは間違いありません。リゾート感やインフラなどは他と比べて突出した何かがあるわけでは無いですが、落ち着くし解放的だし気候もいいしで、住んでみたいと思わせるには十分です。

あえて例えるなら、クラスの1番人気の子ではなく3番人気の子。愛嬌があって話が面白くてかわいいんだけれど自分を魅せる方法にあまりこだわっていない子。そんな子ほど長く付き合えるものです。・・・何の話だ?

初めて訪れた奄美での3泊4日の旅。観光フォトライターとしてとても貴重な体験をすることができました。また来たいなという想いを胸に、少々後ろ髪をひかれながら奄美空港を後にし大都会福岡へと戻ります。

 

この自治体へのさすらいワークのエントリーはこちらから受け付けています。

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