北海道の酪農といえば、十勝など道東が有名ですが、道北地域も負けていません。人口の3倍の牛がいる天塩町は、冷涼な気候から畑作よりも酪農が盛んになった経緯があります。ただ広がる大地と思うなかれ!酪農に携わることで見えた景色を、あなたも感じてみませんか?今回は酪農家であるわたしが、天塩の素敵な風景を3つ、紹介していきます。
ロールって何?酪農家の大切な仕事、牛の食糧づくり
天塩町の6~9月にかけて、見晴らしの良い草地に点々と転がる大きな円柱。直径約1.5m、重さ約350kg。これが、牛の主食となる牧草をまるめた『ロール』と呼ばれるものです。牧草を刈り取り、乾かし、集めて丸め、必要に応じてラップと呼ばれるシートで包みます。一年分の食糧を得るために、天気の良い日にはトラクターがフル稼働しているのです。
「良質な牛乳を出してもらうため、良いエサを作ろう!」と、酪農家がもっとも多忙な時季の風景です。この時期だけ見られる貴重な風景です。
サイロが無くなる!?使われなくなったシンボルタワー
北海道の酪農イメージによく出てくる背の高い建物『サイロ』。以前は中に牧草などを詰め、発酵させて牛の食糧『サイレージ』を作っていました。しかし、前述のロールをラップして作る方式が主流となり、現在はほぼ使われていません。
費用や労力の面から今後増えることはないため、老朽化が進めば、消えてしまう運命にあります。天塩町にも、廃墟となり自然の一部と化したサイロがあるので見つけてみてください。
渡り鳥がたくさん!デントコーン畑の来訪者
青々とした牧草地が広がる夏の天塩町で、ひときわ目をひく植物が『デントコーン』という牛用のトウモロコシ畑です。秋になれば、迫力ある収穫作業を目にすることが出来ますが、今回紹介するのは通りすがりのお客様について。
春先と晩秋、取りこぼしたトウモロコシの粒を目当てに、渡り途中のハクチョウやマガンが休憩していきます。数十羽単位で訪れ、エサをついばむ姿は思わず車を停めたくなるほどです。天塩の住人達にとっては、「季節が巡っているなぁ…」と感じる光景です。
まとめ
いかがでしたか?何も無いといわれる景観も、その地で生活する人の手が関わっていることを知っていただければ深みを増すのではないでしょうか。天塩町の海・山・川・平原…すべてに物語があります。あなたもその眼で、確かめに来てください!