長崎県西海市で家族と飲食店を営みながら、地元のwebメディア及び地域商社の業務にも携わる拝崎麻衣(はいさき まい)さん。

ある時は料理人、ある時はカメラマンやライターなど、幅広い活動を繰り広げています。周りの人から、「色々なことやってるね!」「何をやってる人なの?」と言われることも多々あるそうです。

一体何が拝崎さんを多種多彩な活動へと突き動かすのか、お話をうかがいました。

私のライフスタイルに合った新しい働き方

拝崎さんは、長崎県西海市出身。高校卒業後、料理関係の専門学校に進学。他県での仕事などを経て、7年前にUターンしました。

「幼い頃から家族が自営業でした。専門学校を出てからは、基本的には家族の仕事を手伝う形で働いていました。」

一方で、もっと隙間時間を有効活用して、自営業の他にも仕事ができないかということを、常に考えていたそうです。

「Uターンしてからは副業への思いが、より一層強くなりました。しかし西海市はどこに行くにも移動時間がかかり、自営業との両立となると選択肢が限られました。」

もっと効率よく副業できないか。そう考えていた時に知った「クラウドソーシング」。同時期に、自治体が主催する「新しい働き方講座」の第2期受講生が募集されることを知り、応募。受講することになりました。その講座内容はまさに拝崎さんが詳しく知りたかった、「クラウドソーシング」を活用した働き方について。

「実践を通して学んだ内容は、まさに私が求めていた働き方。自分のライフスタイルに合っていると実感しました。」

新しい働き方講座で発表をする拝崎さん

新しい働き方講座で発表をする拝崎さん

また西海市では「新しい働き方講座」の第1期から、受講生の講座終了後の受け皿として、地元webメディア「ばりぐっど」でライターなどとして働くことができました。

拝崎さんも第2期受講終了後は「ばりぐっど」に所属し、もともと趣味だったカメラや講座で学んだライティングのスキルをいかして活動。その後には、「ばりぐっど」の運営母体である西海市の地域商社「西海クリエイティブカンパニー」の業務にも携わるようになりました。

「もともとの仕事である飲食業をメインにしながら、自分の仕事の幅を広げることができました。」

副業に関して以前から興味・関心があり、書籍やweb関連セミナーで基礎的な知識に触れていた拝崎さん。その知識をいかせる場に恵まれたことも、活動意欲につながったようです。

地域ディレクターを担って学び得た“つなぐ”という役割

地元のwebメディアや地域商社の業務を行っていく中で、拝崎さんはまちづくりへの思いも高まっていきました。そんな中依頼を受けた、「新しい働き方講座」第3期での地域ディレクター業務。

「不安もありましたが、私にできることがあればという思いで、チャレンジすることにしました。」

地域ディレクターの研修では、他の地域のディレクターと横のつながりができ、不安なのは自分だけではないと思えたそうです。さらに、ディレクター仲間やランサーズのスタッフとのやりとりによって、業務についてリアルタイムにブラッシュアップができたり、他の人の気づきが自身の学びにつながったりしたいうこと。

「手探りで始めましたが、研修は分からないことは誰かにヘルプを出せる安心感のもと、お互いに高め合うコミュニティだったのでとても勉強になりました。」

一緒に地域ディレクター研修を受けた仲間と一緒に

地域ディレクターの研修でできた人とのつながり

拝崎さんにとって自身のサポート体制が整った環境で学んだという体験そのものが、その後の実際のディレクター業務にいかされていきます。

そこで大切にしたのは、拝崎さんが地域ディレクターとして最も意識していた“つなぐ”という役割。

まずは、講師と受講生を“つなぐ”こと。

「第3期の講座は、毎回講師が変わる内容でした。講師には受講生の情報を前もって伝えたり、受講生には講師とコミュニケーションが取れる時間を設けたりしました。」

また、受講生同士の間を”つなぐ”こと。

「毎回の席のメンバー配置などは、第2期からの受講生と第3期からの受講生の割合を調整しながら、メンバー間でサポートし合えるように配慮しました。」

そして、地域ディレクターと受講生の間の”つながり”。

「第3期は、前期よりも受講生が増えて、その分さまざまな経歴や価値観の方々が集まっていました。講座に期待するものも人それぞれ。困っている受講生がいないかということには、常に気を配っていました。やはり受講生と一対一で話す時間は必要ですね。それによって、その人が今置かれている状況が理解できます。」

この“つなぐ”という役割は、人と人の間に限定されるものではありません。講座内容と受講生、また講座の各回のつながりなども含まれます。個々を見ながらも、全体の管理や進行も行っていくという、まさにディレクター業務の真骨頂。

「今回地域ディレクターを担って、私こそ勉強させていただいた講座となりました。」

謙虚でありながら、しっかりとご自身の見解をお持ちの拝崎さん。今回のディレクター業務の経験を、自身の活動にもいかして、今後の新たな取り組みも思案しているようです。

個人の強みとそれをいかせる場をつないでいきたい

今、拝崎さんが考えている今後の展望についてうかがいました。

「地域ディレクターを経験してから、“その人の強みは何か”ということに目が向くようになりました。そして、その強みをどうやっていかすことができるのか。その人にあった案件を紹介したり、この人とこの人で組んで仕事すると良いのではないかと考えたり。そこでまた、“つなぐ”という役割を担うことができたらと思っています。」

具体的には、講座の受講生に多い子育て世代に対するクラウドソーシング活用の推進。さらには、少子高齢化が進んでいる西海市に多いパソコンやスマートフォンが得意ではない世代に対しても、既存のスキルや経験に応じた案件を提案できないかと考えているそうです。

「田舎でよく聞かれる『田舎にいるから仕事がない、仕事ができない』という会話が減っていけばいいなと思っているんです。そのためにも、まずは自分が色々やってみることが大切だと思っています。」

所属する地域商社でのミーティング風景

所属する地域商社でのミーティング風景

人と人、人と仕事などの間を”つなぐ”ために、既存のスキルをいかしている拝崎さん。周囲の方から「色々なことやってるね!」と言われる所以は、ここにあるのかもしれません。

「自分が色々やっていることで、『田舎でもこんなことできるんだ、面白いことやってるなぁ』と思ってもらえたら、嬉しいですね。」

ここで大切なのは、『拝崎さんが面白いことやってる』と捉えてもらうことではなく、『西海市は田舎だけれど面白いことやれる地域』と捉えてもらいたいということ。拝崎さんの語りの端々に、地域に対する思いの強さを感じました。

「私は自分がこれができる人と認識してもらうための、肩書きへのこだわりはなくて。むしろ、黒子のような存在であることがしっくりきます。自分ができることを、楽しみながらやっていきたいです。」

自身はさまざまなスキルを持ちながら、それを主張することはなく一つ一つこなしていく。そして他者のスキルは、それが発揮される場につなげていきたい。

拝崎さんが何をやっている人なのかという問いに応えるとするならば、まさに”縁の下の力持ち”と言えるでしょう。

地域ディレクターの経験から“つなぐ”役割について学び・実践し、それを新たに自分ができる地域貢献にいかしていこうとしている拝崎さん。今後ますますの活躍が楽しみです。

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のこのこ
3人の子どもを育てているママです。
アクセサリーのハンドメイドをしており、西海市に住むハンドメイド好きのママグループを作って、楽しく活動しています。西海市の野菜や果物が大好物です!
特にみかんが好きで、基本1回につき3〜5個食べます。よろしくお願いします♡