山梨県甲州市の2017年度新しい働き方講座「スクット」でクラウドソーシングを基礎から学び、その1年後には地域ディレクターとして地域のハブ人材にまで成長した三森望さん。あっという間だったというその時間を振り返り、これからの展望をうかがいました。

出産後のもやもやから地域ディレクターへ 

ーー三森さんは甲州市出身だそうですが、一度地元を離れているんですよね?

「短大までは地元にいて、卒業後中国へ留学しました。そのまま10年間中国にいたのですが、結婚を機に日本へ戻ってきました。」

ーー中国!?なぜ中国に留学していたんですか?

「昔から中国が好きだったんです。あとは、他の人とは違うちょっと変わったスキルや経験を手に入れたかった、というのが大きな理由ですね。あちらでの生活も楽しかったです。仕事は、日本人向けのフリーペーパーの編集に携わっていて、色々な経験をしました。正直大変なこともありましたが…(苦笑)」

ーー日本に戻ってきてからはどうでしたか?

「日本へ戻ってきて、地元のテレビ局でADとして働いていました。その時に、メディアって面白いな~と思いましたね。妊娠をきっかけに退職したのですが、出産後ももう一回メディアの仕事がしたいと漠然と思っていて、もやもやとした気持ちで過ごしていました。ゆったり過ごすのが苦手なんですよね。今まで仕事のストレスを仕事で癒すような生活をしていたので(笑)」

ーーその時に出会ったのがクラウドソーシングだったんですよね?

「そうなんです。子供を連れて地域の子育て支援センターによく遊びに行っていたんですが、そこで市が主催する新しい働き方講座のチラシをもらって。読めば読むほど「これが私の求める働き方だ!」と思えて、その場ですぐに応募したことを覚えています。」

ーー講座中はいかがでしたか?

「クラウドソーシングは自分にピッタリの働き方だと実感できました。フリーペーパーの編集時代にライティングについては学んでいたこともあり、内容がスムーズに理解できたことも大きかったと思います。他の受講者さんのお手伝いをさせてもらったりもしましたね。それもあって、講座修了の時には「将来は地域ディレクターをやりたいです」と宣言しちゃいました(笑)そうしたら、本当に「地域ディレクターをやりませんか?」と声をかけて頂いて。もちろん、二つ返事でOKしました。」

ーー「スクット」を運営する地域ディレクターには研修カリキュラムがあったそうですが、いかがでしたか?

「実践的で無駄のないカリキュラムだったので、最初は圧倒されてしまって。自分に本当に務まるのか悩んだ時も、実はありました。500回くらい自問自答していましたね(笑)」

ーーそうなんですね。そこを乗り切れたのはなぜでしょうか?

「カリキュラムがジワジワと理解できてきて、地域の人材としてだけでなく、自分のためにもなることなんだ!と分かってから、だんだんと自信がついてきました。自分の想いや決意をアウトプットするカリキュラムもあって、後押しされた部分もあります。最後には「やりたいことができる地域へと導いていけるハブ人材になりたい」と素直に思い、発言できるようになりました。実際の「スクット」運営も、この研修で培ったスキルとモチベーションを発揮できたと思います。」

フォローミーの精神で、自分が楽しむ姿を見せる

ーー現在はどのような活動をされていますか?

「スクット卒業生は2期生までいるのですが、その中の有志で「甲州KULAS」というお仕事コミュニティを立ち上げました。そこではメンバーの一員としてライティングはもちろんディレクションのお仕事もしています。他の仕事でもディレクション関係が多いです。」

ーー甲州市でのクラウドソーシングをつかった仕事はまだ珍しい存在だと聞きました。

「そうなんです。甲州市はブドウとモモの生産がかなり盛んでそれに従事する人が多い地域です。観光地としても有名なのですが、情報発信やIT系の仕事はあまり浸透していないと感じます。地域性として、少し閉鎖的な部分もあるのかもしれません。私自身もPCを使って在宅で仕事をしていると話してもなかなか理解してもらえないことが多いです。ちょっと怪しいと思われたりとか(笑)」

ーーなるほど。では実際に、クラウドソーシングという新しい働き方と地域との相性はどう考えますか?

「実は、甲州市の農家さんとクラウドソーシングって相性がいいと思っていて。農閑期のある農家さんが多いので、仕事の少ない間はクラウドソーシングで稼ぐとかインターネットで自分の農作物を販売するとか。もっと効率的に働くことができるのではと思います。複業モデルが浸透して、農業とクラウドソーシングで稼ぐ人が増えるといいですね。」

ーーそうなるためには、どうしたらいいと思いますか?

「なかなかすぐに変えていくことは難しいことだと思います。まずは、私がPCを使ってする仕事を楽しんでいる姿を見てもらって、楽しそうだなと思ってもらうことから始めたいなと。フォローミーの精神で、頑張りたいです。」

新しい自分を、地元で輝かせる

ーーでは、これからの三森さんの目標を教えてください。

「そうですね、甲州KURASをもっと盛り上げられるといいなと思います。ライティングなどで発信する力と地元を知る情報力、つながりを増やすコミュニケーション力で、甲州市を盛り上げて行きたいです。私は今まで地域のために活動するなんてことには興味がありませんでした。しかし、クラウドソーシングと出会いハブ人材となったことで、地域をよりよくするために切りこんでいきたい!と思うようになり、そんな風に思えることに誰より自分がビックリしています(笑)」

ーー個人としての活動目標はありますか?

「実は、山梨県って中国からの観光客が多い県なんです。そこで、自分の語学スキルと地元の観光資源を生かして、甲州市の魅力を伝える活動もしたいなと思っています。「地域通訳案内士」と「旅程管理主任者」の資格を取り、勉強をはじめています。

ーー三森さんの前向きな姿勢やオープンなマインドは、人を引きこむ力を持っていて、地域のハブ人材として大きな役割を果たしていました。三森さんの地域での活躍がこれからも楽しみです。

▼この記事を書いたライターはこちら
千倉美波
海を愛する主人に連れられて、千葉県の南端に移住し、早8年。
今では二人の男の子に恵まれ、のんびり海辺ライフを楽しんでいます。
南房総は、温暖な気候で海も山も楽しめる子育てにはぴったりの場所。
個性豊かな子育て仲間とたくさんの自然の中で、子どもが繋げてくれたご縁を大切に、ここで家族とともに成長していきたいです。地元だからこその子育て応援活動をしながら、ライターとしても活動をはじめました。