南房総は多くの芸術家が活動の拠点として在住しています。アトリエや工房が身近にあり暮らしの中に触れあう事も多いではないでしょうか?そんなアトリエの一つ、「シーグラス」(※)でステンドグラスや様々な作品をつくる工房をひらく松村奈奈先生に鴨川の魅力を聞きました。
※海で割れたガラスの破片が波に磨かれた角がとれ砂浜に打ち上げられたもの。ビーチグラスともいう。
鴨川の魅力は“雄大な海”
「鴨川の移住のきっかけは、アワビやサザエを送ってくれる知人を訪ねてきた時、父が鴨川で倒れ、そのまま鴨川で介護生活に。当時住んでいた東京と鴨川を行き来するのが大変で東京から鴨川に移住。気がつけば移住して16年の月日が。」
「父が小田原に開業していたので相模湾は身近にありましたが、鴨川に来て太平洋の雄大な海を見て「自然に生かしてもらっている」と感じました。波の音を聞きながら砂浜を歩くだけでも、砂が体の悪いもの吸ってくれ、癒される気がします。闘病中の父とも一緒に砂浜を散歩しました。だから病気をしながら15年頑張れたのかもしれません。」
そう笑顔で語る松林先生は「医者にならなければ画家に成りたかった。」という父と、ステンドグラスを趣味に持つ母に、絵画を習いながら育ちました。そんな先生とシーグラスの素敵な出会いが起こります。
シーグラスに願いを込めて
砂浜に打ち上げられた漂流物を拾いながら、海岸を散策する“ビーチコーミング”に出会った松林先生。砂浜の散策しながら集めたものをアレンジし、「父に元気になって欲しいという願いを込め、心に明かりを灯して欲しいと思いでランプを作りました。プレゼントすると父も喜んでいました」とのこと。父の為にと始まった独自のシーグラスアートは人の目に触れ、その世界を広げていきます。
16年前、鴨川グランドホテルの社長や友人や、色々な方の後押しと進めで、シーグラスで作品をつくる今の“アトリエ大自然のめぐみ”をオープン。
初めてこのアトリエを訪ねる人は、入り口のシーグラスを使ったランプのまばゆい光に異世界に迷い込んだような錯覚に陥るかもれません。シーグラスの優しい色合と光の曲線が来る人を癒してくれます。
シーグラスにも先生にも癒されて
こちらのアトリエは様々な人がお客様として訪れます。南房総の小、中学校の体験学習にも使われることがあるそうです。生徒には、物作りの楽しさだけでなく、身近な海岸で、瑪瑙(メノウ)や玉石(ぎょく)、イルカの骨や貝などの様々な化石が見つけられる事も教えてあげているそうです。
「見つけたものは値段でなく、純粋に自然のキレイを楽しんで欲しい。本物を見せて触れさせてあげることが子供には大切。」先生の印象的な言葉の一つでした。
生徒の中にはビーチコーミングで拾った様々なものを「先生おみやげ持って来た」と、届けに来てくれる生徒も。中には採取したものを袋いっぱい持って鑑定を頼んでくる楽しい人も。「みんなが結び付いているのが楽しい、みんなが繋がれる場所、話せる場所になればと思っています。」先生の素敵な言葉と笑顔に私も癒されました。
まとめ
鴨川在住40数年の私が、松林先生を知ったのはほんの数日前。偶然出会った友人に誘われて行ったのが先生のアトリエでした。素敵な出会いに感謝しつつ、きっと鴨川には、「もっと早く出会いたかった」と思えるような素敵な人がたくさんいる予感がしました。
皆さんも素敵な出会いを求めて鴨川に来てみてはいかがですか?