違う土地に行き、違う空を見て、違う空気を吸う。それだけでも十分なのは分かっているけど…。そんな観光気分丸出しのまま、いわゆる「平成の大合併」で出来た富山県南砺市の移住体験ツアーに参加した。

古民家見学と行燈作り

まずは、集合場所の富山駅からバスで南砺市福野へ移動し、古民家を改装したカフェで薪ストーブの程よい暖かさを感じながらのランチ。よく煮込んだ牛すじカレーをいただきながら、移住希望者の方と会話が弾んだ。

その後、2件の空き家を見学。進んでも進んでも部屋が続く大きな古民家と、標準的な大きさの一戸建て。どちらも、駐車場付2階建てのしっかりとした作りで、1年ほど前まで人が居住していたのでひどく傷んでいることもなく、駅からも地元スーパーからも徒歩10分ほどとのこと。

古民家には立派な中庭が、一戸建ての1階にはガレージが、2階にはサンルームのバルコニーがあって、都会で同じものを手に入れるのはちょっと難しい……と思わせる物件。

そこから歩いて5分ほどのカフェ、樫亭で行燈作り体験。こちらも薪ストーブが暖かい。予め竹で作られた丸い行燈の枠に、「福野夜高祭」で実際に使われた派手な模様の和紙を貼って、自分だけの行燈を作成していく。

和紙に塗られた染料は服に付くと落ちないので、慎重に作業を進める。ビニール手袋とエプロンを貸してくれたのは大変ありがたかった。和紙が元々華美な絵柄なので、美的センスは無くともそれなりの仕上がりになった(はず……)。持ち帰るための袋とLEDをいただき、これで家に帰ってすぐに楽しめる。

夜は福野家守舎の方や先輩移住者の方と会食。家守舎の方々は「自分たちの住みたい町を自分たちでつくる」活動をされている方々。また、南砺市には「応援市民」という制度があり、移住する前段階として地域行事のお手伝いや南砺市の情報発信などの協力者を募集している。

南砺市を応援すれば誰でもなれるので、まずは応援市民に参加することを決断。移住希望者ともたっぷりと話ができ、深夜まで楽しいパーティーに。

現地の方との交流で知る新たな一面

2日目は、菊まつりで花卉農家の方の販売のお手伝い。天気が良く人が多いせいか、忙しいほど売れていく。祭りが見られなかったのは残念。

夜は、市の職員の方に民間の方を加え、焼肉屋で会食。焼肉屋で盛り合わせを頼んだら海鮮も付いてくるのは富山ならでは。

3日目は、移住コーディネーターの宮下さんに五箇山から案内していただいた。「なんと・わがまま!移住体験ツアー」という制度を活用した。快晴で空気も景色も非常にきれい。五箇山でもホームセンターを大きくしたような業態のお店があること、林業・観光業の企業があること、農家民宿を開業予定の移住者がいること等々、世界遺産だけでない様々な五箇山の一面を教えてもらう。

福野へ戻り、宮下さんのお取引先のご縁で移住者の就職を支援した話。名古屋の自動車メーカーの下請けなど、元気な中小企業も多いお話。さらには、小松グループ会社コマツNTCや川田工業など大きな企業の存在。従業員数1000名超、売上数百億円超、海外に進出していること。水稲だけでなく、南砺市には製造業も立派に存在していることが分かる。

南砺市の生活拠点も紹介してもらった。福野でアパートや地元スーパーを見て回る。100円ショップや家電量販店もあり、自動車があること前提だけれども、生活に困ることはないイメージを持つことができた。

観光協会の方とは違う方向性の話をたくさん聞くことができた。宮下さんと話をしていると、本当に話が尽きない。最後は近くの駅まで送っていただき、少しお別れが寂しくも感じたけれども、最後は握手をして解散となった。

まとめ

「砺波の南にあるから“南砺”市なんです。ネームバリューは無いんですけどね。」少し悔しそうながらも、市の職員の方はそう話していた。でも、たった数日では見切れないほどのたくさんのものがここにはあって、もっと南砺市を知りたい、またいつか南砺市に来るだろうと感じるまでになっていた。

それほど楽しくて充実した移住体験ツアーはきっとないのだろうと思う。

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