ぶどうといえば「ワイナリー」、フリーランスといえば「コワーキングスペース」ということでワイナリーの数全国一位を誇る山梨県甲州市に誕生した「シェアオフィス甲州」へ。

こちらは全国でも珍しく市が直営する施設で、利用料は地域内外を問わず一日200円、月額3,000円。さらに託児も可能(有料)というコワーキングスペースなのです。そろそろ都会の「コワキ」はマンネリした皆さん、時には環境を変えてメリハリつけようではありませんか!

見渡す限りのぶどう畑に圧巻

「シェアオフィス甲州」への行き方には大きく分けて車と電車の2通りあります。車でも中央道勝沼インターより5分とアクセスがいいのですが、おすすめは電車の旅。JR勝沼ぶどう郷駅を降り立つと、眼前に広がる甲府盆地に思わず体を伸ばして深呼吸。

甲府盆地一帯に広がるぶどう畑

甲府盆地一帯に広がるぶどう畑

駅からタクシーでも5分とかかりませんが、ゆっくり歩いても30分ほど。この景色こそ、ぶどうの生産量日本一を誇る甲府盆地の壮観な統一感。どこを歩いても本当に「ぶどう!ぶどう!ぶどう畑!」なのです。(※山梨県は桃の生産量も日本一)

ちなみに甲州市勝沼が、日本ワイン発祥の地で、その歴史は明治時代に遡るのだとか。

 

都会から大自然にワープしたようなコワーキングスペース

さて、このぶどう畑を抜けて現れたのが「シェアオフィス甲州」。1階のローソンには甲州市の観光情報コーナーもあり、地域密着型の建物ということがうかがえます。早速中に入ってみましょう。

シェアオフィス甲州外観

シェアオフィス甲州外観

ローソンの横から2階に上がるとカードでセキュリティが管理されている扉が。カードをかざし扉を開けるとコワーキングスペースに到着です。白い壁に木目を基調としたスタイリッシュな空間。フリースペースには大きな机が二つ配置されており、会議用に隔てられたエリアや畳スペース、そして個室ブースがあります。

電源もWifiも完備

電源もWifiも完備

中心部には飲食時に利用可能なシンクが用意され、奥にはゆったりとリラックスできるフリースペースも。都会のコワーキングスペースに慣れた方でも何不自由なく溶け込めるしつらえです。

いつでもどこでもできる「新しい働き方」を強力サポート

「シェアオフィス甲州」はどのような目的で生まれたのか、立ち上げを担当された甲州市役所の笹本正和さんと、日原健太郎さんにお話を伺うことができました。

甲州市役所日原さん(左)と笹本さん(右)

甲州市役所日原さん(左)と笹本さん(右)

「甲州市では2017年から地方創生事業の一環として『新しい働き方』の普及を行っています。市の考える『新しい働き方』とは、主にインターネットを使って“いつでも、どこでも”働ける仕事。甲州市の土地柄、ぶどうや桃の農業に関わる方は多いですが、農業にも時期によって手が空く時があります。その期間にインターネットを活用した仕事に充てることも可能ではないかと考えました。」

フリースペースで憩う利用者

フリースペースで憩う利用者

「また多様なライフスタイルが育まれる現代において、甲州市に住んでいる人はもちろんのこと移住を考えている人々へも働く場所を提供することが必要だと考えてました。こうして『新しい働き方』の普及との両輪として完成したのが『シェアオフィス甲州』です。」

個室ブース

個室ブース

行政が運営する施設では利用者が該当行政区の住民に限られることが多いですが、「シェアオフィス甲州」は地域内外は関係なく利用可能で、利用料も同額。駆け出しの住民も安心して利用できるよう、利用料は1日200円、月額3,000円と安価に設定されており、すでに隣接している地域からも利用者が通っているとのことです。

子育て中のママも安心!託児所との連携

続いてお話を聞いたのは地域内利用者である三森望さん。三森さんは甲州市主催で新しい働き方広める「新しい働き方セミナー」の一期生で「甲州KULAS」という地域密着型ライターチームで活躍されています。

甲州KULAS 三森望さん

甲州KULAS 三森望さん

「講座を終えた段階でコワーキングスペースができて、本当にありがたかったですね。昔から農業やワイン生産が盛んな地域なので、まだまだパソコンでの仕事が理解されず『怠けてる』『遊んでる』と周囲からみられてしまうこともあるんです(笑)。そんな状況で職場のような場所があるということで信頼度も上がりました。」

「何よりこのコワーキングスペースは、託児所と連携していることが素晴らしいことだと思います。隣の『地域子育て支援センターあっぷっぷ』にて子どもを預かってもらえるんですね。時には集中してこなさねばならない時もあるフリーランスの仕事なので、とても助かっています。」

奥の建物が甲州市役所勝沼支所と地域子育て支援センターあっぷっぷ

奥の建物が甲州市役所勝沼支所と地域子育て支援センターあっぷっぷ

「地域子育て支援センターあっぷっぷ」へ子どもを預けるのは有料(3時間1,000円)ですが、こちらも地域内外関係なく利用可能。子育て中のママの仕事を支援しています。出産前後の女性の働く環境が、社会的にも問われている中で「新しい働き方」を推進する甲州市の、理念だけではない本気を感じました。

 

シェアオフィス甲州

利用時間 24時間

リンク https://www.city.koshu.yamanashi.jp/iju/iju/share-office.html

住所 〒409-1316 山梨県甲州市勝沼町勝沼756-1
※シェオフィス甲州の利用には事前申請と審査が必要です。詳しくはリンクをご覧ください。

働いたあとはやっぱり甲州ワインでしょ!

こうして市役所の方の思いを受け取り、新しい働き方を実践する三森さんのお話を伺い「シェアオフィス甲州」を満喫した筆者。その後は、せっかくなので甲州の魅力を堪能しようと「勝沼ぶどうの丘」へ向かいました。

約200銘柄のワインが試飲できる「ワインカーヴ」

約200銘柄のワインが試飲できる「ワインカーヴ」

「勝沼ぶどうの丘」は、甲府盆地の小高い丘の上にある市営の観光施設。実はここには、市の品質審査会に合格したワイン約200銘柄を試飲することができるワインカーヴ(地下ワイン貯蔵庫)が…。

タートヴァンは持ち帰れるので旅の思い出にも(試飲は当日限り有効)

タートヴァンは持ち帰れるので旅の思い出にも(試飲は当日限り有効)

料金は専用の試飲容器(タートヴァン)を購入する1,100円のみ(試飲は当日限り有効)。タートヴァン片手に地下に入り、何杯でもワインが試飲できてしまうのです。実に「ワインの里」甲州市らしい観光施設で、筆者もお気に入りの甲州ワインを見つけて帰路につきました。

勝沼ぶどうの丘:ワインカーヴ

営業時間 9:00〜17:30(最終受付17:00)
料金 タートヴァン1,100円(税込:試飲は当日限り)
電話番号 0553-44-2111
リンク http://budounooka.com/see/index.html#underground
住所 〒409-1302 山梨県甲州市勝沼町菱山5093

まとめ

「シェアオフィス甲州」の利用には市役所で申請をして審査を受ける必要がありますが、一度カードを登録(登録料は初回のみ1,000円)したら利用料1日200円で24時間利用可能です。都会で仕事に疲れたら旅に出るのがこれまでの働き方だとしたら、これからは都会と田舎の両方に働く場所をもつ「新しい働き方」も可能なのでは。もちろん移住を検討している方は気軽に利用してみてください。