地域のお祭りというと、テレビや雑誌などで取り上げられるものとは違って、地元の人のための、こぢんまりとしたものをイメージしませんか?少なくとも私はそう思っていました。でも、今回さすらいワークで訪れた「あかいわ祭り」は、老若男女、訪れた人全てにイキイキとした笑顔が見られ、温かな賑わいのあるお祭りでした。
というわけで2017年11月3日文化の日に開催された「あかいわ祭り」に参加し、感じたことをお届けします。
季節外れの赤磐をさすらえるのか!?あかいわ祭りへの不安
“あかいわ再発見!いいまち いい人 美味いもの!”
というコピーが光る「あかいわ祭り」。今回、さすらいワークへの参加が決定していた私に「このお祭りを体験してほしい」という話が舞い込んできました。最初、そのお話を受けたときの正直な私の気持ちは、失礼承知でお話しすると「地元の人用」のお祭り感が拭えませんでした。同時に今まで訪れたことも聞いたこともない赤磐市について調べてみましたが、11月ともなると名物の果物狩りのシーズンも終わっており、目立った特産品も見つけられず…。地元の人の集いの場であろう「あかいわ祭り」に、県外から参加することに少し不安を覚えていました。
この不安を少しでも払拭するために、祭り前日に前乗りし市内を見て回ることに。思っていたよりも整っていた道や、のどかに広がる自然。
快く迎え入れてくれた、温かな場所。慣れない土地のドライブというだけで緊張しましたが、赤磐の自然や人という魅力にほんの少し触れられたような気持ちになりました。でも、どうしても地元の人の集いの場であろう「あかいわ祭り」に参加するとなると、完全に不安が拭い去れたわけではありませんでした。
いざ、あかいわ祭りへ。
赤磐ドライブの翌日。一番のメインイベント「あかいわ祭り」に乗り込みます。
ちょっと余裕を持って行ったつもりでしたが、赤磐市の秋の一大イベントということもあって朝10時の開場時間には、3つある駐車場のうち2つは満車になるほどの賑わい。
会場内には、朝から大勢の人が集まっていました。あちこちから楽しそうな声が聞こえてくる度に「赤磐市に初めて来た私が参加してもいいのだろうか…」と不安になる気持ちを抑え、私も勇気をもって巡ってみることに。
まずは、彩り鮮やかなボトルに目を奪われた、是里(これさと)ワイナリーさんのブースに。是里の栄養たっぷりの赤土で育つぶどうをたっぷり使ったワインは、ぶどうの風味を存分に味わえるそう。試飲したい気持ちをぐっとこらえ、お土産に「リースリング」を買いました。なんでも、リースリングという品種のぶどうを使った辛口のワインを作っているのは、日本では是里ワイナリーさんだけというから驚き。レアなワインだから飲むのがもったいないと思いつつ、後日、家に帰ってしっかり味わいました。
ちなみに、こちらのキャンベルぶどうジュースも、試飲で衝撃を受け自宅用に購入したものです。なんと、1本あたり2kg以上のキャンベルぶどうを使って作られているこのぶどうジュース。これまで飲んできた100%ジュースはなんだったのだろうと思わざるをえないくらい、ぶどうの風味が口と鼻のなかで炸裂します。
お次は山近醤油(やまちかしょうゆ)醸造場さん(旧:赤磐郡瀬戸町、現:岡山市)のブースへ。赤磐産大豆を100%使用しているというからには、ぜひ味わってみたい!ということで「鐵次郎(てつじろう)」を豆腐にかけてちょこっといただきました。醤油ではありますが、豆腐の甘みと調和する非常に優しい味わい。
使用している素材は赤磐産の大豆100%に加え、地元で作られた天日塩、それからその年、その時期にベストな状態の小麦を日本各地から選び抜いているから、生産者の方たちとのつながりも強くなっているんだとか。生産者の方の想いを受け取り、丁寧な手仕事で造られる「鐵次郎」が優しい味わいなのも納得です。今後は赤磐産の素材100%を目指したいという目標も伺うことができました。
赤磐には「朝日米」というこの地域近辺で主に生産されているお米と、このお米を使ったお酒を造る酒蔵があります。赤磐酒造さんもその酒蔵の中のひとつです。
「この時期にしか味わえないですよ~」と言われ試飲欲が高まったひやおろし…。試飲できないこの悔しさよ…。赤磐で作られた朝日米の豊かな旨みと甘みを堪能できる日本酒が赤磐酒造さんにはありました。
また、朝日米つながりでお昼は「あかパリ」をいただきました。「あかパリ」とは、朝日米を米粉にして麺にしたものを油で揚げたものに、季節の野菜たっぷりの中華風餡をかけたご当地グルメです。パリパリの朝日米の麺に、たっぷり赤磐産のお野菜を使った餡がかかり、噛むたびに絡む…。美味しいに決まってます!もとは給食メニューだったというだけあって、幅広い年代の人に愛される、とても身近な赤磐グルメだと感じました。
最初は不安を感じて「あかいわ祭り」に参加しましたが、蓋を開けてみたらどうでしょう。「見て」「食べて」「体験して」としていたら、あっという間に時間が過ぎてしまうほど、楽しんでいました。「あかいわ祭り」にくるまで知らなかった「赤磐」の秘密や魅力を知れたみたいで、大満足です!
移住した人も積極的!活動の幅が広がる赤磐
「あかいわ祭り」には出店ブースのほかにもステージパフォーマンスもあり、今回ベリーダンスショーで出演されたyukoさんにお話を伺うことができました。
yukoさんはもともと東京でベリーダンスをしていたのですが、結婚を機に赤磐に移住したのだとか。
「ベリーダンスの認知度が東京よりはるかに低いであろう赤磐市で、スクールを開くのに恐怖心はなかったのですか?」と聞くと、yukoさんから返ってきたのは「むしろ期待感・ワクワクでいっぱいだった」というコメントでした。今回のステージにもスクールの方と一緒に出演されていたのですが、ベリーダンスを通して新たな横のつながりや新しい楽しみも生まれたのだとか。その言葉通り、ステージで踊る皆さんの姿はキラキラと輝いていました。
また移住したころは、東京みたいに公共交通機関が発達していない事もあって戸惑うこともあったそうですが、車の運転に慣れれば生活に必要なものも地域ごとに揃うので、住みやすさも感じていらっしゃるようでした。なにより、果物をはじめとする食べ物を自分で育てて食べられるということが新鮮であり、魅力と語られていました。買うよりもフレッシュな果物に囲まれる生活。羨ましい限りです。
さらに、地域おこし協力隊の方にも出店中のお忙しい中にもかかわらずお話を聞かせていただきました。食に興味があって赤磐に移住してきた「さくらさく農園」の協力隊の方は、農業を身近に感じることでますます食への関心が高まったそう。なにより、赤磐の人の温かさも一番の魅力を感じているとおっしゃっていました。今日は「さくらさく農園」のお手伝いでお祭りに参加していたようです。
「是里ワイナリー」で出会った協力隊の方も赤磐の自然に魅入られた1人。是里ワイナリーのワインの風味の良さや、その裏に隠された秘密など、まだまだ魅力が伝えきれていない!という熱い思いと、「これから自分が率先して発信したり、イベントも企画したりして、赤磐の素晴らしいところを多くの人に知ってもらうために動いていきたい」という未来への思いを語っていたのが印象的です。
移住してきた方は、もともと別の場所で生活されていた方ばかりです。そんな方々が、魅力や期待をもって赤磐に来るだけでなく人との輪を広げたり、いいところを他の人にも伝えたいという気持ちが芽生えたりと、赤磐をもっと活気づけていく大きな力となっているのです。もともと住んでいた人とは違う視点で赤磐の魅力を語れる皆さんの力は、赤磐の発展になくてはならないのだろうなとも感じました。
赤磐のポテンシャルを切り開き続けるから愛される「あかいわ祭り」
赤磐に来る前は、最寄りの駅からもほんの少し遠く、どうやらバスの本数も決して多くはなさそうな赤磐を、「何もない田舎」だと思っていました。
でも違いました。私はこの「あかいわ祭り」を通して、「赤磐」という地域が、もとからあるものや人の良さを大切にしながらも、新たな風やつながりを取り入れ、変革・進化をしていく力をもった温かな場所だと感じています。
フレッシュな果物に、歴史ある自然豊かな土地。
Webサイトの情報や観光ガイド、たった1日では把握しきれなかった魅力の数々。
行ってみて気づきました。赤磐の魅力は現地に足を運ばないと伝わってこないのだと。そして、まだまだ秘められた、魅力もきっとたくさんあるはずだと。
なにより、赤磐の魅力を自分の言葉で丁寧に話してくれる人たちの温かさも嬉しかったのです。訪問してきた人や移住してきた人を優しく受け入れる人の温かさが赤磐の魅力をさらに高めるのだと感じました。もともと住んでいた人と外からやってきた人のそれぞれの視点や力を活かし、魅力をさらに高める土壌が赤磐にはある。そんな気がしてなりません。
今回参加した「あかいわ祭り」は、いわば赤磐の魅力のおいしいとこ取り!なイベントです。でも、地域の人にとっては、赤磐のポテンシャルに改めて気づく機会になるでしょうし、私のような県外からの人間からしたら知らないことの連続でただただ新鮮な気持ちで楽しめるイベントでしょう。そして、人の力でまだまだ魅力を切り開いていけるからこそ、「あかいわ祭り」は愛され盛り上がっているのではないかと感じました。
「あかいわ祭り」は赤磐の人・モノ・コトに触れられ、かつ知るための第一歩になる、とてもいい機会でした。
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