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「看板建築」という言葉を知っていますか。
少し聞き慣れない言葉かも知れませんが、現在、群馬県の富岡製糸工場などの近代遺産に対する再評価が高まっているなかで、この看板建築によって作られた建物への関心や再評価も始まっています。
この記事では、そんな看板建築が多く残る町、「横須賀上町商店街」を紹介したいと思います。

「看板建築」とはどのようなものか

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https://www.flickr.com/photos/141149615@N03/26129773835/in/album-72157666415104392/

「看板建築」は関東大震災の復興過程で生まれてきた建築様式です。
その構造は店舗と住居を兼ねた形式で作られていて、おもてに面した店舗は西洋式看板建築、住居スペースは和式という作り方がなされています。
「看板建築」は、文字どおりに、店舗面を看板のように、または絵にたとえると、キャンバスのように大きく取り、そこにさまざまな意匠を凝らすという、大正期から昭和初期まで流行った建築様式で、モルタルのものであれば、この時代に流行ったアールデコ調の装飾が施され、また銅板葺きスタイルのものも多く見られます。
この銅板葺きのものもハイカラで、当時の人たちのオシャレセンスを感ぜずにはいられません。

「看板建築」が今も残る町並みを訪ねて

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https://www.flickr.com/photos/141149615@N03/25541860453/in/album-72157666521485016/

冒頭にも書きましたが、近年、近代遺産に対する再評価は高まり、その歴史的貴重性が広く認識されるようになりました。
しかし、そういった大規模な歴史建造物にはない魅力が「看板建築」にはあります。看板建築の施主は、あくまで個人経営の店舗の主。またそれを作り、デザインしたのも町の大工の棟梁。
いわば看板建築には当時の人たちの「先端文化への憧れ」が濃縮されているのです。
ですが、その看板建築も太平洋戦争の空襲によって、多くが消失されてしまいました。しかし横須賀は、幸いにも空襲を免れたため、この看板建築が現在も多く残っています。
京浜急行横須賀中央駅から平坂という坂を上ること約10分。そこに上町商店街があり多くの看板建築を見ることができます。

昭和モダンな雰囲気を感じて

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上町商店街の「看板建築」は、現在でも店舗として使われているものがほとんどです。この町並みを歩いてみれば、きっと昭和モダンな風を感じることができるでしょう。
また同じ上町地区には、国指定文化財であるゴシック様式で建てられた「横須賀上町教会」も建っています。
これらの建築物は歴史的価値がある一方、あくまで個人の所有物なので、保存方法については難しい点もあるかと思いますが、これからもそのレトロな姿の魅力を失わないでほしいものです。

まとめ

最近では若い女性の方でも、大正期や昭和初期の着物を購入し、自分なりに着こなすことが静かなブームと聞いています。
このブームのように、昭和モダン、昭和レトロといったフレーズは、少しクールな響きを持って人々の耳に届いているようです。
そんな言葉がぴったりくる横須賀上町商店街を、訪れてみてはいかがでしょうか。

横須賀上町商店街

関連HP
http://uwamachi.net/introduce.html