東京から和気に移住して、ああ和気町に来てよかったなぁと感じる瞬間はここの定食を食べるとき!そして、料理から創り手の人柄が分かるという経験ははじめてかもしれません。みんなが健康でいられるようにというお母さんとしての思い、そして彼女たちの生き方というのでしょうか、ぶれない芯の強さが想像できます。
忙しい毎日に疲れているあなた、まずは食べてみてほしいです。コンビニ弁当とか食べられなくなりますよ。
派手にしない、偏らない、妥協しない味
和気駅目の前。旧銀行の建物をそのまま活かし、チャレンジ店舗として和菜食堂が2016年にスタート。たった数人の主婦で切り盛りしているこの食堂は、町内はもちろん、遠くから来るお客さんで賑わっています。
日本人ならつい食べに来たくなるどこか懐かしい味つけ、そしてこの品数とボリューム、それにも関わらずこのお値段は……採算度外視でやっているとしか思えません。もしかして今日は感謝祭で特別なのかな、なんて思ってしまうけど、いえいえ毎日この価格。
素材へのこだわりが胸を打ちます
素材は基本的にこの土地で作られたものです。そして調味料に本気でこだわる姿勢がこの店をつくっていると思います。
県外まで視察に行くこともあり、先日ははるばる京都に赴き創業120年のお酢屋を訪ね、調味料を買付けてきたのだとか。ここのお酢屋の歴史を聞いて感動。大量生産、大量消費が美徳とされていた当時にも関わらず、酢の原料となる米のために「農薬を使わないでお米を作ってくれませんか」と、農家に応じてもらえるまで2年もの月日をかけて一軒一軒頼み歩いていたそうです。
このように、材料における選定ポイントは、「身体」が美味しいとこたえるもの、そして一般の主婦たちが普段扱える価格帯であることです。本当に良いものだけを永く使いたいというひたむきな思いに、心を打たれます。
仕込みは、実に和やかな雰囲気で始まります。ママたちに、「役割分担は?」と聞くと「特にない」とのこと。担当もリーダーもなく、その日その時で自分の仕事を見つけるそうです。
しかし手元はまるで千手観音。無駄のない動きで短時間に相当な量の仕事をこなしていくので、まばたきをする暇もありません。レシピもマニュアルもないけれど、素材の味を最大限生かされて、野菜たちも本望でしょう。
町の調和をつくりだすのにも一役
滑らかなチームワークで、見た目も味も旨い料理ができあがる工程は、まるでジャズの即興演奏のようです。ファンが多いことに納得。
地域行事のお弁当をはじめ、毎回参加者が増えていく町恒例の移住者交流会などのイベント時にも出店のオファーも多いのですが、忙しいママたちはヒーヒー言いながらも柔軟に対応してくれます。和菜食堂のごはんを食べると、みんな笑顔になるんです。
たとえば移住者交流会で、はじめましての人たちが集まって食べたりすると、
「この食材は何だろう」
「誰々さんのところの紫ささげだよ」
「ささげって?」
などとはじまり、人と人の距離が縮まる力さえあると思います。
まとめ
営業は月火水のみ11時から14時。日替わり定食850円。お持ち帰り弁当600円。
営業時間内に完売することも少なくないので確実に食べたかったら、開店と同時に行くのがおすすめです。
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