富山県南砺市(なんとし)利賀村(とがむら)へ行ったのは初めてだった。

私は富山県のお隣、石川県の先端珠洲市というところから、ソノトチワークの仕事でSCOTという演劇のサマーフェスティバルと同時に開催されている屋台村でのイベントの撮影をしに行った。

利賀村のことはその仕事に行くと決まってから初めて知った。両親に聞いてみると「お蕎麦が有名なところだよ」と教えてくれた。そんなお蕎麦が有名な利賀村、絶対お蕎麦食べよう!と思って楽しみにしていた。

いざ利賀村へ、出発!

当日はお昼すぎに会場入りだったので朝出発して車で利賀村へ。能登の先端から利賀村までは車でだいたい3時間半ほどかかるくらいの距離があり、地図で調べてみるとどうやら山奥の村だということはわかった。

そこで演劇の祭典?

インターネットやホームページで検索してはみたけど、最初はあまり想像できなかった。

道の駅庄川を超えると少しずつ細い山道に入っていった。くねくねした道路、右手には崖(絶景とも言える)、この道で合っているんだろうか…どんどん不安になっていった。対向車がいることだけが唯一の安心材料だったかもしれない。

「ナントライフ」で撮影のお仕事

30分ほど山道を走ったところで会場に着いた。そこにはすでにテントが張られていたり、イベントに出店する人たちが集まっていた。そして簡単に打ち合わせをしてからさっそく撮影が始まった。

お仕事の主な内容は、ナントライフのフェイスブックページやウェブサイトの更新。この作業を、自分で会場内を自由に撮影したり、出店者の方にインタビューした内容を元に記事を書いてどんどんフェイスブックページにあげていく。イベントに出店しているお店の方は南砺の食材を使ったフードを提供している人ばかりだった。

富山県といえば白えびやホタルイカ、ブラックラーメンなど、いくつか有名な食べ物があることは知っていたし実際に食べたことも何度もある。

だけどそこで出会ったのは、お蕎麦はもちろん、南砺の名産の城端ポークを使ったホットドッグや熊汁、おかき、どぶろく、利賀村の特産のイワナ、利賀村で収穫したばかりの新鮮な野菜たち…しかも、城端ポーク一つとっても、ただのポークじゃなかった。

城端ポークは南砺の特産の干し柿の皮を食べて育った豚なので、臭みが少なく甘みがあり、栄養価も高いお肉だとお店の方が説明してくださり、実際に食べてみると上品なお肉の味が口いっぱいに広がっていったのは感動的だった。

富山の人は普段から食べているという熊汁も初めて食べた。そもそも珠洲には熊がいないのでジビエではイノシシ肉くらいしか食べたことがなかったのだけど、熊汁は想像していたよりも脂っぽさがなくてすっきりした甘味のあるお肉だった。

初めて食べるものがたくさんあって、ここでは書ききれないのだけど、とにかくその食べ物ができるまでの過程についてもお店の方へのインタビューでいろいろ知ることができて、本当に南砺は豊かなところなんだなということを身を持って体験することができた。

またフード以外にもいろんな分野からの出店者の方やスタッフとも出会った。

五箇山和紙を使った絵本作家の方や、利賀村で帽子を作っている方、地元の青年団の方々、ボランティアでイベントスタッフの仕事を通訳や翻訳で手伝ってくれたオランダ人の男性、水車の本格仕様するために試行錯誤している人、地域おこし協力隊として南砺で働いている人、地元をどうにか盛り上げたいと奮闘している人たちとたくさん出会った。

そしてイベントに出店している人だけではなく、演劇を見るために日本全国、世界の国々から利賀村に遊びに来ている人たちともいろいろとお話することができたのも、会場の空気や、利賀村という大自然に囲まれ、開放感あふれる場所だからこその出会いだったのではないかと思った。

利賀村での生活は短い期間だったけど、南砺の恵みがつまった食べ物たち、澄んだ空気や美しい山々、聞こてくる清流の音、温かい人々、夜には満点の星空…非日常でありながら、そこには日常そのものの時間があった。

富山や南砺市、利賀村のことをほとんどと言っていいほど知らない自分を受け入れてくれた南砺の方々、そして丁寧にいろいろなことを教えてくれたり、話しかけてくれたことはきっと一生忘れない。

珠洲への帰り道、利賀村にある天竺温泉に行った。温泉につかりながら今回のイベントのことを振り返ってみた。

演劇を通して山奥の村が賑わっていること、そしてそこに集まってくる南砺を愛する人(住んでいる地域は関係なく)たちからは、古きを大切にしながらも新しいことをどんどん取り入れているという印象を受けた。率直にいうと、山奥のど田舎なのに若い人がたくさん集まって、みんなが楽しそうに生活している、そんな印象だった。それがなんだかすごく羨ましかった。

まとめ

きっかけはソノトチワークだったけど、ソノトチワークだったからこそ出会えたこと、知ったことがたくさんあった。豊かな土地と出会えたことも大きかった。短いけれど、過ごした時間が、自分の中で大きな思い出になった。

撮影や取材を通して、とても良い経験ができたし、これからも続いていくであろう出会いもたくさんあったことは私にとっても大きな収穫だった。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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