市原市のだいこん畑の道沿いに、ひっそりただずむ謎のキッチンカー。車通りも少なく知る人ぞ知る場所ですが、お昼時になるとどこからともなくお客さんが集ります。なんだか気になりますよね?
そこで今回は、気になるこのキッチンカーの正体を探るべく、キッチンカー“農家の畑ごはん たねやキッチン”のオーナー泉水さんにお話をうかがいました。
「美味しい」には理由がある!こだわりの姉崎だいこん
たねやキッチンのオーナーの泉水さんは、“姉崎だいこん”の生産者のひとり。“姉崎だいこん”とは、千葉県市原市姉崎地区の姉崎蔬菜(そさい)組合の14戸の生産者とJA市原市が運営している市原市が誇るブランド大根です。JGAP(持続可能な農業に取組む農場に与えられる認証)の取得や、平成25年に、日本農業賞の特別賞を受賞しています。
生産者が同じ農法で栽培し、共同の選果場で洗浄~選別~出荷作業をおこなっています。出荷時は厳しく品質をチェックし、優れた大根を収穫した日のうちに出荷しています。また、定期的に勉強会を行い、日々改良を重ねているそうです。
収穫時期は毎年10月~5月末頃。甘く、芯まで真っ白な、ジューシーな大根です。この甘さの秘密は寒さです。実は温暖な千葉県でも、冬場の姉崎地区の山間はかなり冷え込みます。大根は寒さから身を守るため、糖度を上げて甘い大根に成長するという特徴があるのです。
“農家の畑ごはん たねやキッチン” 畑違いのキッチンカー誕生秘話
オーナーの泉水さんですが、たねやキッチンのオープン以前はIT系の仕事に就きながら、将来的に小料理屋を開く夢をぼんやり抱いていたそうです。のちにご縁があり、市原市の大根農家に嫁ぐことになりました。
そして、「姉崎だいこんをみんなに食べてもらいたい!」という熱意から、かつての夢だった飲食業にチャレンジすることを決意。
店舗を借りての営業も考えましたが、2019年の千葉県大規模台風被害を目の当たりにし、災害時に炊き出しで支援ができて、お客さんとの距離も近いキッチンカーの営業に乗り出しました。経験のない飲食業。試行錯誤しながら準備を進め、コロナ禍を経て2022年の4月に満を持してたねやキッチンをオープンしました。
現在は週3日、自宅横の敷地と近隣の直売所で営業中です。営業日が限られているのは、仕事と家族と自分のバランスをとり、長くキッチンカーを続けていきたいからだそうです。
どれにするか迷っちゃう。姉崎だいこん100%メニューを実食!!
たねやキッチンでは、姉崎だいこんをふんだんに使ったメニューを味わうことができます。定番はカレーとハンバーグですが、リピートのお客さんも楽しめる様に、期間限定メニューも登場します。今回取材に訪れた私は定番メニューを3つ実食しました!
【大根カリカリカレーライス(豚肉)】
ドライカレーのお肉が大根になったようなイメージで、とてもヘルシーです。複数のスパイスを使い、ピリ辛でコクがあります。辛さが苦手な私でも問題無く食べることができます。角切りで、くせのない大根が口の中でシャリシャリして食感は抜群。ところどころで豚肉の弾力と甘みを感じます。カリカリの大根のトッピングで、香ばしさのアクセントが入ります。
【大根カリふわてんぷら】
大根特有の苦みや辛さはなく、たこやきの“周りカリカリ、中がふわっ”に近いです。姉崎だいこんのてんぷらを提供しているお店は結構レアだと思いますので、ぜひ一度食べてほしい一品です。
【焼きバナナロティ】
お客さんの甘いものが欲しい!というリクエストから誕生した焼きバナナロティ。オーナーの泉水さんが旅行で食べたバンコクの屋台の感動の味を再現しています。生地しっかりのクレープのような味わいです。
まとめ
今回、興味を持って謎のキッチンカーを訪ねたら、“姉崎だいこん”の普及に情熱を燃やしている、多彩で魅力的なオーナーの泉水さんとだいこん料理が待っていました。「五感で大根を感じてもらいたい」をモットーに、たねやキッチン以外にも“だいこんの歌”の作曲や、手書きPOP、積極的にSNS等で発信していて、これからもますます活動が拡がりそうです。
この取材で実感したのは、ぜひみなさんにもこの姉崎だいこんをを食べてほしいという想い。市内の方はもちろん、市原市外の方も機会があればぜひたねやキッチンで“姉崎だいこん”を味わってください!
たねや泉水農園
http://daikonnosato.com/
※掲載情報は執筆当時の情報であり、現在は変更になっている恐れがございます。予めご了承ください。