千葉県中央部に位置する市原市。市原市といえば、京葉工業地帯のイメージを強くお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、実はその昔上総国の国府があった歴史深い地なのです。

 今回は、奈良時代に建てられた国分尼寺の中でも全国一の寺域の広さを持つ国指定史跡上総国分尼寺跡を小学生の娘と散歩してきました。子供の知的好奇心をくすぐる休日のススメです。

上総国分尼寺って何?まずは予習をしよう「史跡上総国分尼寺展示館」

市原市国分寺台の住宅街の一角。朱色の建造物が突如現れます。国指定史跡上総国分尼寺跡です。尼寺(にじ)とは女性のお坊さんが住む寺のこと。こちらには展示館も併設されていて、発掘調査時の出土品や復元模型などが展示されています。

展示室ではスタッフの方が復元模型の説明をしてくれます。やはり説明があると俄然興味が沸きますね。この住宅街にかつて、こんなに広大な尼寺があったなんて今では想像がつきません。小学4年生の娘も復元模型を夢中になって見ていました。模型は小さな子供でもわかりやすく、興味が沸きやすいのではないでしょうか。

希望すれば、スライド上映もしてくれます。「4年生だとまだ飽きちゃうかな?」とのことでしたので、今回は復元模型の説明のみお願いしましたが、学校で歴史を習う6年生以降の子供なら興味深く見られそうです。

なんと原寸大!!「復元中門と復元回廊」

さて、外に出て復元された中門と回廊を見にいきましょう。広い敷地と草の香りが気持ちいいです。国分寺は奈良時代に聖武天皇の詔(みことのり)によって、全国60か所余りに建てられた僧寺(男性のお坊さんの住む寺)と尼寺からなる国立の寺院です。

大地震や疫病の大流行、大飢饉などの社会不安や政治の混乱を仏教の力でしずめようと建てられました。こちらの中門と回廊は当時の工法で復元していて、材料もできる限り当時に近い物を使っています。

96本の回廊の柱は、樹齢100年以上のヒノキを使っているとのこと! 驚きです。

金堂(本堂)の復元はありませんが、金堂の基壇(建物を建てる土台部分)と灯篭(とうろう)が再現されています。周辺の喧騒とは打って変わって時がゆっくりと流れます。まるで別世界です。

こちらも国指定史跡「上総国分寺跡」

体力と時間が許すようでしたら、僧寺の上総国分寺跡にも足をのばしてみましょう。上総国分尼寺跡から上総国分寺跡までは、子供の足でも15分程の距離です。途中に公園もありますので遊びながら向かうのもいいかもしれません。お散歩コースにはぴったりです。娘とドングリを拾いながら歩きます。

かつて上総国分寺には、高さ63m以上もある七重の塔が建っていました。これはなんと奈良の法隆寺の五重の塔の2倍近くの高さになります。現在、塔跡には礎石が残されており、西門跡には基壇が復元されています。

そしてこちらでは、樹齢600年を超える大銀杏を見ることができます。11月終わりから12月にかけての紅葉の季節には、黄金色に輝く落ち葉の絨毯が見られます。散策をしながら、子供と一緒に色とりどりの葉っぱを集めてみると理科の学習にもなるかもしれませんね。 

まとめ

子供と巡る少しだけ知的な市原市の休日、いかがでしたでしょうか? 市原市にいらっしゃる際は、ぜひ立ち寄ってみてください。難しいことは一旦置いておいて、少しでも歴史を身近に感じて興味を持ってもらえたら嬉しいですよね。

いつもの子供とのお出掛けに、少しだけお勉強エッセンスを加えてみるのも新鮮で楽しいですよ。

※掲載情報は執筆当時の情報であり、現在は変更になっている恐れがございます。予めご了承ください