私にとって、かつて奈良県は修学旅行で訪れただけの場所でした。新幹線だけではたどりつけない、遠い観光地。

しかし転勤で奈良に移り住んで気づいたことがあります。有名な寺社でも、ふとした時間や場所で感じる静謐(せいひつ:落ち着きのある静けさ)。風情ある街並みでのそぞろ歩き。お店の方との語らい。子どもがその場になじみ、楽しんでいる様子は、慣れない土地で過ごす不安を和らげてくれました。

奈良で3年間過ごすうちにどんどん奈良が好きになり…去った今でもつながりたい!今回は「たとえ離れていても奈良県をもっと近くに感じるには?」を考えました。

自宅で奈良県の特産品を楽しもう。ふるさと納税

地域を応援する仕組みとして有名な「ふるさと納税」。家にいながら特産品と出会えるなんて魅力的!これはどこから?と産地に注目すると、古都だけではない、新たな奈良県の魅力に気づくかも。

うまいものなしと揶揄(やゆ)されがちな奈良ですが、名物の「柿の葉寿司」や「三輪(みわ)そうめん」はもちろん、返礼品として人気のある大和牛などのブランド「和牛」やヒノヒカリなどの「お米」も揃っています。お子さまには甘さたっぷりの「いちご」や「柿」がおすすめ。

隠れた名産品が「靴下」です。全国シェアは約35%、ソックスだけならシェア約56%だなんてびっくり!「ふきん」は大仏さまのお身ぬぐいに使うことで有名になりました。茶道具として欠かせない「茶筅(ちゃせん)」も国内生産量の9割以上を占め、生産量日本一を誇ります。返礼品をチェックしてみると、思わぬ特産品がわかります。

かわいい鹿を守るための支援はいろいろ。奈良の鹿愛護会

奈良県といえば?という問いに、必ずあがってくるのが「鹿」です。古くは神の使いとして敬われた鹿は、いまでは観光客を和ませる、奈良県の親善大使の役割を担っています。

車が多く行きかう観光地に人と共存している鹿たちは、「一般財団法人奈良の鹿愛護会」の地道な活動で守られています。病気やけがに目を配り、保護し治療する。繁殖期に人とのトラブルを避けるよう啓蒙活動をする。終わりのない、地道な作業のくりかえしです。

こうした活動をささえる仕組みが、愛護会のホームページには用意されています。特におすすめなのが「会員になる」こと。年に2回の情報誌から、鹿を守る活動がより身近に感じられます。ほかにも「寄付・募金をする」「グッズを購入する」方法があります。

奈良県で大人になってからの学生体験。奈良大学で通信教育

「人生をより豊かにするために」「リタイア後の楽しみに」大人になってから学び直しをする人が増えています。知的好奇心を満たす受け皿はここ奈良県にも。奈良大学には文化財歴史学科を擁する通信教育部があります。

モノからその背景を探る文化財学と、残された史料から過去をさかのぼる歴史学。文化財歴史学科では、似て非なる学問である2つの分野を同時に扱うことで、より体系的な学びが得られます。実際に受講・卒業した方にお話をうかがったところ、以下のように話していただきました。

「鎌倉時代の食事についての講演会で、演者である教授と知り合い、『中世の食文化に興味があるならばこんな学科もありますよ』と紹介されました。京のみやびより奈良のまほろばに惹かれていたので、ぜひここで学びたいと思って受講を決意。年に2度奈良を訪れてのスクーリングは得がたい経験となりました。在学中に得た知識と交友関係が、卒業後に加わったNPOでの学びにいまも繋がっています。ライフワークを見つけるきっかけになりました。」

ここで蓄えた知識が、次に奈良で過ごす時間をより豊かなものにしてくれるかもしれません。

まとめ

私が奈良にいたのはたった3年。やり残したことがたくさんあります。東大寺のお水取りや唐招提寺のうちわまきなど、伝統行事の参加もそのひとつ。「新しい生活様式」の中で、今後も多くが変わっていくでしょう。

それでも奈良はそこにあります。特産品を味わい、鹿を見守り、歴史に思いをはせる。遠く離れた場所からでも奈良を身近に感じる方法がいくつもあるのです。

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