全国において、専業主婦率がもっとも高い「奈良県」。近隣の京都や大阪などに比べると、奈良県は主婦を雇用する受け皿そのものが少ないという現状があります。社会復帰をしたくても育児で時間に制限があるなど、思うように働けず頭を抱えているママも多いかもしれません。

そこでピックアップされるのは、「起業」という選択肢。自分のライフスタイルを保ちながら、趣味やスキルを活かすママが今注目されています。しかしその一方で、「私にできるのか不安」「なにをどう始めたらいいのかわからない」など、想いを形にできずにいる方も多いと思います。

そんな中、奈良の地でものづくり作家として活躍するママを取材しました。彼女は、果たしてどのようにして起業を成し遂げたのでしょうか。

「趣味」から「作家」へ。ママが切り開いたものづくりへの道

歴史的な街並みが残る「奈良町」。そんな奈良町の一角に、2人のママ作家によって共同経営されている「ハナテバミテリ」があります。お店に並ぶのはストールやアクセサリーなど、時間をかけて生み出された彩り豊かなものたち。ひとつひとつに、手しごとの温かい心が込められています。

今回取材をさせていただいたのは、ハナテバミテリを共同経営されている1人のややこさん。3人のお子さんを育てる現役ママのややこさんに、起業に至るまでのお話を詳しく伺ってみました。

———ややこさんが作家を目指すキッカケはなんだったのでしょうか?

「妊娠、出産を機に、子どものものを手づくりするようになりました。なにかをつくっているときがとっても楽しくて。いろんなものをつくる中で、初めて自分の作品として売れたものは『消しゴムはんこ』でした。その時は手づくりの作品を出品するようなアプリもなく、当時していたSNSに作品を載せていたらご注文をいただけた…というのが始まりでした」

———作家デビューは、消しゴムはんこから始まったのですね。今はお店でどんなものをつくられていますか?

「太陽の日差しを受けると虹色の光を放つ『サンキャッチャー』です。お部屋や窓辺につるすと、クリスタルガラスが虹色の反射をつくり出してすごくキレイですよ。私の場合は、古都奈良の町並みにもなじむようなサンキャッチャーをイメージしてつくっています。木や糸、天然石を使い、マクラメ編みという技法を施しているのが特徴です」

———光を集めて輝く…とてもステキな作品を、オリジナルでつくられているのですね。でもなぜ、サンキャッチャーをつくろうと思ったのですか?

「子育て中って、常に自分のことは後回しですよね。『私は何色が好きだったのか?』それさえもわからなくなる。そんなとき、サンキャッチャーに出会いました。無意識にストレスがたまっていた中、サンキャッチャーが生み出すたくさんの光に心から癒されたんです」

誰もが経験する、育児のイライラや孤独感。自分を見失いかけていたときにややこさんが心救われたもの…それがサンキャッチャーであり、今現在のややこさんとを結びつけるものとなったのですね。

まずは「小さな一歩」から。アクションで広がる大きな世界

———お店を構えるにあたって、どのような行動をとられましたか?

「奈良市主催の起業セミナーに参加するなど、積極的にアクションを起こしていきました。実際に受講してみて思ったのは、男性よりも女性が多い!ということです。私と同じように、学びたいママや起業を目指すママがたくさんいたことも印象的でした」

———奈良市の起業セミナーは定期的に開催されていますよね。無料で受講できるものも多く、ママにとってはありがたいです。市主催のもの以外にも、なにか活動をされていましたか?

「友人の紹介でイベントに出店したことを機に人とのつながりが広がり、奈良で開催されているイベントや講座、ワークショップへの参加が増えていきました。講座では経理のことや、SNSに載せる写真の撮り方を教わったり…。とにかく『参加しては知る』の繰り返しでした。

いろんな経験を重ねていく中で感じたのは、『奈良には働きたいママを応援するいろんな活動や団体がある』ということです。参加するたびにどんどん活動範囲が増えていきましたし、そこで出会ったいろんな方とのご縁があったからこそ、今に至っていると思います」

…市民団体やボランティアなど、奈良にはママを応援する活動が実はたくさんあるのですね。

お店を構えるにあたって、いろんな経験を積んでこられたややこさん。「ママの起業」というとすごく高い壁のように感じてしまいますが、小さなアクションからご縁が広がり、そこから世界が広がっていくのですね。

子どもと過ごす時間こそチャンス!すべては未来への糧となる

———ハナテバミテリは2人のママ作家によって共同経営されていますが、ママと仕事を両立する上で何か工夫されていることはありますか?

「まずは家族を優先するというのが、2人共通の意識です。私たちは『誰かに喜んでもらえるものをつくりたい』という想いで、ものづくりをしています。そのためには、私たちの家族にも笑顔でいてほしい。このベースの部分を大切にしています」

———子どもや家族、そしてママの笑顔が、温かみのある作品へとつながるのですね。これから奈良で起業を目指すママに向けて、ややこさんから何かアドバイスはありますか?

「子育て中や小さな赤ちゃんがいると、やりたいことがあっても思うように動けませんよね。私の場合ですが、授乳中や寝かしつけをしているときも作品の構想や自分の未来図をずっと頭で描いていました。子どもたちとふれ合いながらも自分を見つめなおす大切な時間となったので、ママにとっては大きな糧になると思います。

あとは、時期がきたらとにかくアクションあるのみです。『やってみたい!』という想いは、行動することで形になっていくと思っています」

…家族のことや、挑戦したいこと。自分の想いに耳を傾けながら、焦ることなく一歩一歩着実に歩んでこられたややこさん。取材後、イキイキとした笑顔で見送ってくださった姿がとても印象的でした。

まとめ

実際にお話を聞いてみた率直な感想は、「奈良はママへの就業支援がとても充実している!」ということです。

平成22年の国勢調査において、専業主婦率1位となった奈良県。この調査結果があったからこそ、奈良県では本格的にママの就業をサポートする体制が見直されたという背景があるのかもしれません。これらの取り組みがさらに浸透していけば、奈良の働きたいママはもっと活躍できるのでは?チャンスが増えるのでは?そう感じました。

やりたいことがある。「好き」を形にしてみたい。ひとりの女性として、また社会で輝きたい…!今の奈良市は、あなたのその想いを形にできる絶好のステージかもしれません。

ハナテバミテリ ~放てば手に満てり~
◆営業時間:11:00am-17:00pm
◆営業日:月~金 不定で土日祝(facebook等でご確認ください)
◆〒630-8382奈良市公納堂町12(ならまち工房Ⅲ内)
◆e-mail:hanatebamiteri@gmail.com
◆facebook:https://www.facebook.com/hanatebamiteri/
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