静岡茶や宇治茶にも負けない「大和茶」をご存知ですか?

良質で美味しいと評判の大和茶は、空海が唐から茶の種子を奈良に持ち帰ったことが起源と言われています。そんな歴史ある大和茶とお米を無農薬でつくり続けている、竹内茶園の竹内秀興さんを取材してきました。

農薬が・・・しんどい!

奈良市街地から南東に自動車で30分ほど走ったところにある此瀬(このせ)町。山あいの斜面にきれいに並ぶ茶畑が印象的です。

「昼夜の寒暖差がお茶栽培に適しているんです。それに、ここは蛍が舞うほど水がきれい。だからこそ、うちのお茶とお米は美味しいんですよ」

そもそもなぜ竹内さんは無農薬栽培に取り組むことになったのでしょうか。

きっかけは1950年代、高度経済成長期のころに遡ります。見栄えの良い農産物を多く作ることが優先され、そのために農薬が使用されました。

「農薬を散布した日は、夕方になると体がしんどくて仕方がない。土や水、人体にも悪い影響が出るのではないだろうか」と、当時20代の竹内さんは疑問を抱くようになりました。

不屈の信念と試行錯誤

それからしばらくして転機が訪れます。

「竹内さんのところで、無農薬のお茶を作ってもらえないだろうか」という打診があったのです。竹内さんはすぐに無農薬栽培に取りかかりましたが、初めての年は害虫と木の病気で見るも無残な茶畑になったそうです。

それでも諦めずに試行錯誤を繰り返し、やがて木酢液が効くことがわかりました。また、無農薬に切り替えたことで、益虫が活躍しはじめました。やがて、木も活力を取り戻したように強くなっていきました。

多くの人に喜んでもらうために

お茶は完全無農薬になってからおよそ30年、お米は年に一度だけは除草剤を使用しますが、こちらも無農薬です。妊婦さんや授乳中のお母さんにはカフェインレスのほうじ茶が大好評で、健康に気を使う方には玄米や糠も人気とのこと。

「これだけ手間をかけてこだわっているのだから、価格を上げた方が良いのではありませんか?と言われることもあります。でも、多くの人に喜んでもらいたいので、この価格を維持できるうちは頑張りたい」と竹内さん。

信念とともに切り開いてこられた無農薬栽培の道。そのお人柄にすっかりファンになってしまいました。

取材:2017年3月
【竹内茶園】奈良県奈良市此瀬町